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[VPD2-3]Prolonged healing and recurrence post SIFT-IS for low transsphincteric anal fistula

Daisuke Okada, 佐原 力三郎 (Proctology Center, Makita General Hospital)
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【背景】当院では低位筋間痔瘻に対し、根治性と機能温存を両立させる術式として皮下瘻管切離・内括約筋切開法(SIFT・IS法)を行い、良好な成績を収めている。しかし中には術後治癒遷延や再発を生じる症例が存在する。
【目的】SIFT・IS法術後の治癒遷延および再発例について検討し、手術成績向上への改善点を明らかにする。
【対象と方法】2020年4月から2024年3月までに当院で単発低位筋間痔瘻に対しSIFT・IS法を施行された207例について診療録を元に後ろ向きに検討し、原発口がクリプト以外の症例、IBD合併例は除外した。患者の症状消失と視診、指診、肛門鏡診による確認をもって治癒判定した。術後4ヵ月以上要したが治癒した症例を治癒遷延、経過中未治癒の症例を非治癒、治癒判定後に再度症状が出現した例を再発と定義した。
【結果】治癒遷延14例(6.8%)、非治癒17例(8.2%)、再発4例(1.9%)であった。主な要因として二次口創部上皮化遷延、肛門管内裂創遺残、原発口とSIFT・IS創との間の皮下痔瘻形成、原発口と瘻管の再開通を認めた。治癒遷延例は二次口上皮化遷延5例、肛門管内裂創6例、皮下痔瘻形成1例、その他2例であり、軟膏による局所治療で治癒した。非治癒例は瘻管再開通9例、皮下痔瘻6例、二次口上皮化遷延2例であり、再発例は瘻管再開通3例、皮下痔瘻1例であった。非治癒、再発例のうち現在治療中、中断を除く14例(6.8%)に再手術を要し、要因は瘻管再開通8例、皮下痔瘻6例であった。瘻管再開通は全例腰麻下手術で再SIFT・IS3例、tight seton2例、切開開放術2例、肛門保護術1例を施行し、再SIFT・IS1例を除く全例が治癒した。皮下痔瘻例は全例局所麻酔下切開開放術を施行し治癒した。
【治癒遷延・再発予防策】SIFT・ISの創と肛門縁の距離を確保すること、手術操作時の肛門上皮損傷回避、硬化した内括約筋の部分切除による肛門管内減圧が重要であり、一次瘻管が太い際には筋層側断端の縫合閉鎖追加を考慮する。
【結語】SIFT・IS法の治癒遷延・再発例では瘻管再開通、皮下痔瘻形成、肛門管内裂創に留意する。肛門管内裂創は局所療法で治癒可能だが、瘻管再開通と皮下痔瘻については再手術を要する。