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[VPD2-4]Changes in functional preservative surgery for anal fistula in our hospital

Yoshiyuki Suzuki, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 岡本 康介, 下島 裕寛, 國場 幸均, 松村 奈緒美, 宋 江楓, 河野 洋一, 紅谷 鮎美, 松島 小百合, 酒井 悠, 米本 昇平, 佐井 佳世, 松島 誠 (Matsushima Hospital)
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背景:痔瘻手術においては、肛門機能を維持しつつ再発を減少させることが求められる。当院では2014年よりligation of intersphincteric fistula tract (LIFT)法とsubcutaneous incision of fistula tract (SIFT)法を組み合わせたfunctional preservative operative technique (FPOT)を導入し、現在まで施行している。当初その適応をⅡLS型痔瘻に限定し、徐々に適応を拡大した。初期(2014年〜2017年)には痔瘻手術全体の24.7%でFPOTを施行していたが、近年(2022〜)は痔瘻全体の35.2%で、適応拡大とともに施行例が増加している。それに伴いその成績も変化している可能性があり、今回の報告ではFPOTの手術成績の経時的な変化を解析し報告する。
方法:対象は2014年1月〜2024年12月までに当院で痔瘻に対してFPOTを施行した症例とし、再発症例、Crohn病症例を除外した。前期(2014~2017)年、中期(2018~2021年)、後期(2022〜2024年)に分け、その適応症例の背景と、術後成績を解析した。
結果:FPOT症例は全部で3689例、前期1191例、中期1228例、後期1270例であった。その適応は、中期以降の症例で前方側方の痔瘻が増加しており(前期 vs 中期 vs 後期: 53.7% vs 65.3% vs 67.8%, p<0.001)、単発のⅡL型痔瘻は減少し(68.9% vs 55.0% vs 55.4%, p<0.001)、多発痔瘻への適応が増加していた(23.3% vs 36.1% vs 37.7% p<0.001)。手術成績としては、出血量が中期以降に増加する傾向にあり(21.3ml vs 23.6ml vs 25.0ml, p<0.001)、再手術を要した症例は後期に多くなっていた(7.0% vs 11.2% vs 11.6%, p<0.001)。
結語:FPOT手術は経時的に適応が拡大され、比較的複雑な形式の痔瘻にも行われるようになっているが、それに伴い手術成績は悪化する傾向にあった。FPOT手術は括約筋温存手術として有用であるが、他の術式と比較した上でその最適な適応を検索する必要がある。