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[VSY2-3]Robotic colorectal surgery evolves in response to changes in the surgical environment

Takashi Nonaka, 富永 哲郎, 井上 悠介, 髙村 祐磨, 山口 峻, 片山 宏己, 橋本 慎太郎, 山下 真理子 (Nagasaki University Graduate School, Department of Surgery, Colorectal Surgery)
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【はじめに】
2018年に直腸切除への保険適用が開始されて以来、本邦における手術支援ロボットの導入は飛躍的に増加し、多くの病院で日常診療として行われるようになった。当院でも2018年に直腸切除、2022年に結腸切除へと適応を拡大した。この間、ロボット手術機器はダビンチSiからXiへと移行し、手技の定型化が進んだ。
【手術手技】
ロボット手術の利点を最大限に生かすことをコンセプトとし、手技を構築した。左手(1番鉗子)にエナジーデバイス(シンクロシール)、右手(3番鉗子)には直腸・左側結腸ではモノポーラーシザース、結腸ではメリーランドバイポーラーを用いて剥離を行う。結腸では体腔内吻合(Delta吻合)を第一選択としている。
【ロボット支援大腸切除術の現状】
2018年~2024年9月に当科で施行したロボット手術(Ro)と腹腔鏡手術(Lap)を傾向スコアマッチング解析(PSM)により比較検討した。下部直腸癌手術279例(Lap 121例, Ro 158例)では、Ro群で合併症の軽減と術後在院日数の短縮を認め、長期予後はLap群と遜色なかった。結腸癌手術592例(Lap 491例, Ro 101例)では、出血量の減少、郭清リンパ節個数の増加、在院日数の短縮が認められ、長期予後も同様に遜色なかった。
【今後の展望】
2024年以降、働き方改革の順守、病院経営の悪化、外科医不足といった課題が常態化し、ロボット手術のさらなる効率化とコスト削減が求められている。また、卒後10年以内のロボット外科医の増加に伴い、ベッドサイドでの指導の重要性が増している。さらに、新規ロボット(Hugo)の導入により、腹腔鏡手術デバイスを併用する新たな手術スタイルが必要となった。そこで、助手がエナジーデバイスやステープラーを操作し、術野形成・剥離に積極的に関与するFusion/Hybrid Robotic Surgeryを導入し、これらの課題に対応している
【まとめ】
ロボット手術の発展に伴い、外科を取り巻く環境も変化しており、ロボット手術のスタイルも柔軟に進化させることが重要である。