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[VSY3-8]Recommendations for the Combination of Various Procedures for Postoperative Complications of Hemorrhoids.

Takashi Sameshima, 江藤 忠明, 緒方 俊二, 山元 由芙子, 長友 俊郎, 前田 裕之, 吉元 崇文, 今村 芳郎, 鮫島 加奈子, 西俣 伸亮, 濱元 ひとみ, 家守 雅大, 山下 芳恵, 平川 あさみ, 鮫島 由規則 (Junaikai Sameshima Hospital)
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【はじめに】当院は大正10年に鹿児島痔疾専門医院として開業し100年の歴史を持つ。当初は痔核を凧糸で結紮したり、焼き鏝で焼却したりと想像を絶する治療が行われたそうである。先代が戦後初めて鹿児島にMilligan-Morgan手術を導入したが、40年前、演者が入局した当時はWhitehead手術を行う先輩がおられた。近年、痔核の治療は大きく変貌した。特にALTA硬化療法(ALTA)の出現は、痔核の外科治療の選択肢を格段に広げた。またACLやMuRALなど、痔核のつり上げで脱肛を治める手技の開発など、痔核への一様な手術ではなく、個々の痔核の病態から多種の術式やその併用療法で選択的な手術が行われ、良好な治療成績が報告されている。しかし、ガイドラインや諸家の報告からも結紮切除法がゴールドスタンダードであることに異論はない。
【合併症と対策】
①出血;術後出血部位は根部、切開粘膜辺縁、ドレナージ創と大きく3つに分けられるが、問題となるのは根部出血である。先代時代は根部結紮のみの開放術で、糸はカットグットと縒り糸の絹糸であり術後1週間前後に噴出性の根部出血をしばしば経験した。しかし、これらの出血は合成吸収糸や編み糸の出現、エネルギーデバイスの進化や半閉鎖式、閉鎖式などの手技で改善された。またALTA併用療法も術後出血予防には有用である。過去5年で腰椎麻酔下に止血処置を行ったのは4/2951(0.1%)であった。
②狭窄;痔核が大きい場合でも肛門縁から肛門管の切開創を小さくすることで狭窄は回避できる。痔核の数が多い場合、全てLEでは肛門縁の柔軟性が損なわれ、拡張不良を来しやすい。主痔核はLEで根治的に切除、副痔核は分離結紮やALTA硬化療法で対処するなど考慮すべきであるが、ACLやMuRALとLEやALTAの併用で切除箇所を減らすことにより狭窄を回避できる。
【結語】一つの手技に固執することなく、痔核治療に対する多くの引き出しを持ち、個々の痔核に対して最良な外科治療を選択することが合併症を減少させ、再発率を下げることにつながり、広義でこだわりと言えるかもしれない。今回は演者が行っているLEと様々なcaseに対する手術の実際を供覧する。