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[WS2-1]Diagnosis and Treatment of external hemorrhoid due to varix

Mizumi Inagaki, 吉川 周作, 増田 勉, 寺内 誠司, 内田 秀樹, 中尾 武, 横尾 貴史, 谷 孝文, 岡本 光平, 芝田 祐輔, 稲次 直樹 (Kenseikai Dongo Digestive & Anal Disease Center)
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外痔核は歯状線より遠位側に生じる痔核である。痔核の成因については肛門部の静脈瘤によるものと肛門の粘膜下のクッション状の支持組織のゆるみによるものがある。外痔核の分類については諸説あるが、急に腫れて疼痛を伴う血栓性外痔核と怒責時などにのみ見られる静脈瘤性外痔核がある。菊田らは静脈瘤の拡張と膨隆を主としたものを静脈瘤性外痔核とし、安静時には隆起や腫脹はまったくみられないが、排便時のみ、あるいは長時間の立位・座位の継続時に肛門部が膨隆すると述べている。しかしながら、文献的にはあまり報告がなく、成因や病態は不明な点が多い。静脈瘤性外痔核という病名も一般的ではない状況である。当院では2022年6月から女性肛門外来を開設しているが、20~30代の特に出産後の女性に、菊田らが述べた静脈瘤性外痔核を主とする脱肛が多いことがわかってきた。特徴としては、怒責時や長時間の立位時には紫色の浮腫状に脱出するが、安静時には脱出せず、肛門鏡で観察しても脱出しそうな痔核は認めないということが挙げられる。また、脱肛をそのままにしておくと痛みが生じることがあり、痛みを伴いにくい内痔核の脱肛とは異なる。また、腰椎麻酔や肛門部の局所麻酔を行うと自然に病変部が膨隆してくることも特徴的である。安静時には病変がはっきりしないため、脱肛を主訴に肛門科を受診しても問題ないと言われ、適切に診断されていないことも多い。診断には怒責診が重要であり、患者本人にスマホで脱出時の写真を撮ってきていただくこともかなり有効である。治療は当院では内外痔核の結紮切除術に準じて行っているが、放射状に皮切をし、皮下の静脈瘤組織を剥離・切除(アンダーマイン)する方法もある。症例を提示し、静脈瘤性外痔核の成因および診断と治療に関して考察を行う。