Presentation Information

[WS2-3]Anal malignant disease, which is a rare disease and can be difficult to diagnose

Naomi Matsumura, 佐井 佳世, 米本 昇平, 酒井 悠, 松島 小百合, 鈴木 佳透, 小菅 経子, 紅谷 鮎美, 河野 洋一, 宋 楓風, 岡本 康介, 下島 裕寛, 國場 幸均, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 松島 誠 (Matsushima Hospital)
PDF DownloadDownload PDF
大腸癌はわが国で一番罹患数の多い悪性疾患であり、当院でも年間200例以上の進行大腸癌を発見し高次医療機関へ紹介を行っている。それに比較し肛門部の悪性疾患はまれで、時に通常の良性疾患と鑑別がつきにい場合や、痛みや狭窄などで診断に苦慮する場合がある。
今回我々は、2021年1月から2025年4月の間で、通常の直腸癌肛門浸潤を除く肛門部の悪性腫瘍と診断した35例を対象に検討を行った。
【対象】35例は男性24例女性11例、年齢は30歳から92歳、平均年齢64.6歳であった。
主訴は痛み23例、出血21例、肛門部の腫瘤10例、排便困難4例であった。既往歴は悪性疾患10例、うち1例は直腸癌手術後9ヶ月であった。痔核や裂肛・痔瘻などの肛門手術の既往は9例、うち1例は他院での裂肛根治術後4ヶ月であった。
初診で良性疾患(痔核・裂肛・痔瘻・膿瘍・皮膚腫瘤など)と診断したのは35例中13例37.1%、悪性腫瘍を強く疑ったのは35例中12例34.3%であった。他の10例中6例は痛みや出血、肛門狭窄などで診察が困難な状態であった。
初診で良性疾患と診断した13例中9例は症状悪化や手術により2ヶ月以内に悪性疾患と診断された。他4例中1例は初診で内視鏡を行い血栓性内痔核と診断されていたが、3ヶ月後に内視鏡を再度施行し悪性黒色腫と診断した。1例は痔瘻として手術を行ったところ病理検査で扁平上皮癌と診断された。他2例は経過中に癌を発症したと考えられた。
生検方法は腰椎麻酔下15例、局所麻酔下12例、内視鏡下8例であった。
病理診断は35例中扁平上皮癌14例40.0%、腺癌8例22.9%、悪性黒色腫2例、その他が11例であった。
【考察】肛門管悪性腫瘍は主訴が通常の肛門疾患と酷似しており、病理検査で初めて悪性と診断されることもある。また、進行した肛門部悪性腫瘍は肛門狭窄や痛みで診察そのものに難渋する。治療を行っても進行する痛みや出血、肛門狭窄は悪性疾患の可能性を疑って診療を行うべきと考えた。