Presentation Information
[WS2-4]A case of common warts (verruca vulgaris)
Akiko Yajima (Sapporo Female Clinic)
【はじめに】ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による肛門疾患として、肛門尖圭コンジローマは肛門外科診療でしばしば遭遇するが、同じHPV感染である肛門部尋常性疣贅はまれである。日本皮膚科学会による尋常性疣贅診療ガイドラインにおいては、肛門部病変に対する治療法について特に示されていない。今回、成人の肛門部尋常性疣贅の診断・治療に苦慮した症例を経験したので報告する。
【症例】初診時50代、女性。
【主訴】肛門部の掻痒。
【既往歴】特記事項なし。HPV感染症既往なし。
【現病歴】1年前からの肛門部の掻痒。
【初診時所見】肛門全周に多発する潰瘍および裂肛、痔核および肛門部周囲炎を認めた。肛門狭窄は認めなかった。
【下部消化管内視鏡検査】横行結腸に8mmのIspポリープを認め切除した。tubular adenoma low to high grade の診断であった。
【経過】初診時より痔疾軟膏およびステロイド含有軟膏で治療開始した。治療後に掻痒は軽快するも、疼痛を伴わない肛門潰瘍は改善なく経過したが、コロナ禍により受診の頻度が減少した。初診から5年目に、全周性に皮膚疣贅の拡大がみられたため、1時、4時、7時、11時の4か所の皮膚疣贅を切除した。肛門狭窄を回避するため、可及的切除にとどめた。
【病理学的所見①】扁平上皮の乳頭状増殖、高度の過角化および錯角化を認め、 verruca vulgarisの診断であった。
【術後経過】 初回術後1年目に遺残した角化病変を追加切除した。
【病理学的所見②】異型の乏しい扁平上皮で覆われた肛門粘膜で、中央に潰瘍を伴う。炎症細胞浸潤を認めるのみで特異な所見はなかった。術後6か月で再発の兆候をみとめていない。
【結語】肛門に多発する潰瘍や疣贅を認めた場合は、尋常性疣贅を念頭におき診断、治療にあたる必要がある。肛門部尋常性疣贅と診断された場合は、肛門機能を温存しながら、手術的に病変を摘除することも選択肢の一つと考えられる。
【症例】初診時50代、女性。
【主訴】肛門部の掻痒。
【既往歴】特記事項なし。HPV感染症既往なし。
【現病歴】1年前からの肛門部の掻痒。
【初診時所見】肛門全周に多発する潰瘍および裂肛、痔核および肛門部周囲炎を認めた。肛門狭窄は認めなかった。
【下部消化管内視鏡検査】横行結腸に8mmのIspポリープを認め切除した。tubular adenoma low to high grade の診断であった。
【経過】初診時より痔疾軟膏およびステロイド含有軟膏で治療開始した。治療後に掻痒は軽快するも、疼痛を伴わない肛門潰瘍は改善なく経過したが、コロナ禍により受診の頻度が減少した。初診から5年目に、全周性に皮膚疣贅の拡大がみられたため、1時、4時、7時、11時の4か所の皮膚疣贅を切除した。肛門狭窄を回避するため、可及的切除にとどめた。
【病理学的所見①】扁平上皮の乳頭状増殖、高度の過角化および錯角化を認め、 verruca vulgarisの診断であった。
【術後経過】 初回術後1年目に遺残した角化病変を追加切除した。
【病理学的所見②】異型の乏しい扁平上皮で覆われた肛門粘膜で、中央に潰瘍を伴う。炎症細胞浸潤を認めるのみで特異な所見はなかった。術後6か月で再発の兆候をみとめていない。
【結語】肛門に多発する潰瘍や疣贅を認めた場合は、尋常性疣贅を念頭におき診断、治療にあたる必要がある。肛門部尋常性疣贅と診断された場合は、肛門機能を温存しながら、手術的に病変を摘除することも選択肢の一つと考えられる。