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[WS2-6]A study on the safety of anorectal surgery performed under spinal subarachnoid anaesthesia in the presence of oral anti-thrombotic medication.

Hidenori Kuno1, 小野 朋二郎1, 渡邉 晃大1, 内海 昌子1, 竹中 雄也1, 三宅 祐一朗1, 安田 潤2, 相馬 大人2, 根津 理一郎2, 弓場 健義2, 齋藤 徹1 (1.Osaka Central Hospital, 2.大阪中央病院消化器外科)
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【緒言】近年高齢化が進む中で周術期に抗血栓療法を受けている症例が増加傾向にあり、脊髄くも膜下麻酔下に肛門部手術を行う際には、原疾患、血栓リスクや出血リスクなど症例毎に十分な配慮が必要である。ガイドライン上は抗血栓療法中の脊髄くも膜下麻酔は禁忌とはされていないが、肛門疾患における抗血栓剤内服中の脊髄くも膜下麻酔下手術に関してはまだ十分なエビデンスがない。そこで当院における肛門部疾患に対する抗血栓療法下の脊髄くも膜下麻酔下の安全性について検討を行った。
【方法】当院において2024年1月から12月の間で脊髄くも膜下麻酔下に手術を施行した症例を対象とし、抗血栓療法の有無と臨床経過について後方視野的に検討し、周術期の安全性について評価を行った。
【結果】脊髄くも膜下麻酔下に手術を施行した症例は1713例、男性1139例/女性573例、年齢中央値48歳(14-95)、痔核760例/痔瘻688例/裂肛・肛門狭窄123例/直腸脱27例/その他116例であった。抗血栓剤を内服していない症例1588例/抗血栓剤を休薬した症例88例/抗血栓剤を継続した症例37例であった。抗血栓剤継続下に手術を施行した症例は、抗血小板剤継続下の症例35例/抗凝固薬継続下の症例5例であった(重複あり)。手術時間平均はそれぞれ19分/20分/25分であり抗血栓剤内服下の手術時間が長い傾向にあった。出血量平均は7ml/6ml/13mlで3群間の差は認めなかった。Clavian-Dindo分類GradeIII以上の術後出血は63例(3.9%)/7(8.0%)/4(10.8%)に認めたが3群間で統計学的な優位な差は見られなかった(p=0.12)。周術期における脊髄くも膜下穿刺による血腫形成に伴う神経障害は全症例において見られなかった
【結語】短期間かつ少ない症例の検討ではあるが、抗血栓剤内服中の肛門疾患に対する脊髄くも膜下麻酔を施行した血腫形成による神経障害は認めず、術後出血のリスクも同等であった。原疾患のリスクから抗血栓療法継続が必要な症例においては、抗血栓剤継続下の脊髄くも膜下麻酔の手術も考慮しても良いと考えられた。