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[WS2-8]Surgical strategy for 11cm giant rectocele

Yushi Suzuki1,2, 浜畑 幸弘1, 鈴木 綾1, 赤木 一成1 (1.Tsujinaka Hospital Kashiwanoha, Department of Colorectal Surgery, 2.前田病院)
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【背景】骨盤内手術や直腸肛門手術の既往のある骨盤臓器脱症例に対する手術は,癒着や解剖学的構造変化により難渋することがある.
【目的・方法】11cmの巨大直腸瘤に対する腹腔鏡手術の短期成績を明らかにし,治療戦略について考察する.
【結果】症例は60歳台女性,BMI29.主訴は排便障害.会陰部を圧迫して排便している.1歳時に「肛門のできものを切除した」既往があり,肛門周囲3時~9時方向に半弧状の手術瘢痕を認めた.また38年前に子宮下垂に対し開腹子宮つり上げ術,18年前に子宮筋腫で子宮全摘術を施行されている.排便造影検査では約11cmの直腸瘤を認めた.CTではS4以下の仙骨尾骨を認めなかった.以上より膣断端脱・直腸瘤GradeIVと診断した.肛門手術の既往については,おそらく仙骨部奇形腫に対し腫瘍切除術,尾骨仙骨合併切除を施行されたと推測した.また膣壁が重度に弛緩した巨大直腸瘤症例であり,性交渉があるため経腹手術の方針となった.術式は腹腔鏡下直腸固定術(Laparoscopic Ventral Rectopexy: LVR)+腹腔鏡下膣仙骨固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy: LSC)とし,直腸を肛門管上縁まで授動し,直腸前壁を包み込むようにメッシュ固定することで,直腸瘤根治を試みた.癒着剥離のために開腹移行を要したが,その他の手術操作は腹腔鏡下で施行した.直腸Rbが長く,また背側へ走行しており,直腸授動に難渋した.手術時間は336分.術後2か月頃より肛門周囲に便塊貯留,排便困難感を認めるようになり,術後6か月で直腸瘤の再発を認めた.再発後の排便造影検査では,直腸に貼付したメッシュの外側から回り込むように突出する直腸瘤を認めた.
【結語】巨大直腸瘤に対する腹腔鏡手術の短期成績を明らかにした.本症例の解剖学的変化や直腸瘤の成因,治療戦略について考察し報告する.