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[WS3-5]The Utility of Reduced Port Surgery in Balancing Minimally Invasive Approach and Laparoscopic Training for Junior Surgeons in Laparoscopic Ileostomy

Kyonosuke Ikemura1, 小嶌 慶太1, 柴木 俊平1, 渡部 晃子1, 坂本 純一1, 横田 和子1, 横井 圭悟1, 田中 俊道1, 古城 憲1, 三浦 啓寿1, 山梨 高広1, 佐藤 武郎2, 内藤 剛1 (1.Department of Lower Gastrointestinal Surgery, Kitasato University, 2.北里大学医学部附属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門)
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【はじめに】腹腔鏡手術は低侵襲性に優れ,消化器外科医にとって必須の基本手技である.一方で,若手外科医の教育と患者負担軽減の両立は,術式選択における重要な課題である.人工肛門造設術では、臍部を1st portとするmulti-port laparoscopic approach(以下、従来法)が一般的であるが、我々はストーマサイトをカメラポートとするReduced port surgery(RPS)も導入している.
【目的】従来法と比較して,RPSの教育的有用性および患者負担軽減効果を明らかにする.
【対象と方法】2023年4月〜2025年3月に当院で施行された腹腔鏡下回腸人工肛門造設術31例をRPS群(10例)と従来法群(21例)に分類し,術後短期成績を比較した.RPSはストーマサイトに多孔式アクセスデバイス(EZ Access®)を留置しカメラポートとし,左下腹部の2ポートを追加した.従来法は臍部を含む3ポートで行った.両群とも全小腸の検索,生検,回腸の腹壁固定による人工肛門造設は同様の手順であった.
【結果】従来法群と比較し,RPS群では出血量に差はなく,手術時間は短縮傾向を示した(73.6 vs 85.0分,p=0.25).術後炎症の客観的指標として,好中球比(POD1/pre)(1.1 vs 1.4,p=0.03),好中球リンパ球比(NLR)(POD1/pre)(1.28 vs 1.94,p=0.02)は,RPS群でいずれも有意に低値を示した.在院日数も有意に短縮され(8.7 vs 15.0日,p=0.03),創部数の少なさとあわせて術後侵襲の軽減が示唆された.合併症発生率に有意差はなく、安全性も保たれていた.RPS群内の若手外科医執刀症例でも同様の短期成績であり,教育的導入の実践性も示された.
【結語】RPSは安全性を保ちつつ,術後侵襲軽減や早期回復に加え,整容性や臍部癒着の回避にも優れ,若手外科医の教育と患者負担軽減を両立し得る術式である.