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[WS3-7]Indication and Technical Refinements for Umbilical Ileostomy

Masatoshi Kitakaze, 三代 雅明, 賀川 義規, 河口 恵, 長谷川 健太, 深井 智司, 森 良太, 末田 聖倫, 西村 潤一, 安井 昌義, 菅生 貴仁, 牛丸 裕貴, 小松 久晃, 柳本 喜智, 金村 剛志, 山本 和義, 後藤 邦仁, 小林 省吾, 宮田 博志, 大植 雅之 (Osaka International Cancer Institute, Gastroenterological Surgery)
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【背景】低侵襲手術が普及したことで、臍は重要な腹腔内へのアプローチ経路として認識されるようになった。直腸がん手術において一時的人工肛門を臍部に造設することで、創痕が臍の陥凹と重なり整容性の向上、また人工肛門造設のための新たな創が不要となることによる疼痛の軽減、さらなる低侵襲性が期待できる。しかし、陥凹部である臍部に人工肛門を造設する場合には、適応や造設手技の工夫が重要である。当院における臍部人工肛門造設術の適応と造設方法の工夫を紹介し、短期成績について検討する。
【対象と方法】 2022年から2024年に直腸がん手術時に一時的回腸人工肛門造設術を施行した症例の治療成績を臍部で造設した臍群とそれ以外の従来群に分け比較検討した。
【適応と造設手技】
術後瘢痕創や深い皺などがなく、臍周囲の平面が確保できる患者を術前に認定看護師とともに確認し適応を判断する。造設時には、口側腸管の高さ、肛門側腸管の高さをそれぞれ2cm以上、1cm以上は確保するようにし、臍底部結合織を切離し、臍部の皮膚を外反させ皮弁として人工肛門の側面に固定し、人工肛門基部の間隙をなくすようにする。人工肛門近傍に生じる皮膚の凹凸に対しては、凸型装具と用手成形皮膚保護剤の併用により管理が可能である。
【結果】直腸がん手術時に一時的人工肛門造設術を実施したのは125例(従来群:66例、臍群59例)であった。従来群と臍群は手術時間は(367分[Interquartile range(IQR):279-466], 374分[IQR:307-487], p=0.14)、出血量(25ml [IQR:0-95], 5ml[IQR:0-50], p=0.22)、術後合併症率(12.5 %, 16.7%, p=0.61)に有意差を認めなかった。人工肛門関連合併症であるHigh output syndrome(1.8%, 4.5%, p=0.62)やOutlet obstruction(1.8%, 3.0%, p=1.00)は同等であった。重度の人工肛門周囲皮膚炎は臍群で1例認めたが、上記管理の工夫により改善を認めた。
【結語】 臍部人工肛門は従来群と比較して手術成績は同等であった。適切な症例選択と臍部皮膚皮弁を用いた造設手技・人工肛門管理の工夫により、臍部人工肛門は直腸がん手術における有用な選択肢となり得る。