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[WS4-3]Diagnosis and treatment of teenage patients with Crohn’s disease

Mizumi Inagaki, 吉川 周作, 増田 勉, 寺内 誠司, 内田 秀樹, 中尾 武, 横尾 貴史, 谷 孝文, 岡本 光平, 芝田 祐輔, 稲次 直樹 (Kenseikai Dongo Digestive & Anal Disease Center)
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【はじめに】難治性痔瘻などで当院を受診する患者はクローン病の場合もあり、その診断は非常に大切である。特に10代の痔瘻の場合は、49%がクローン病であったという報告もある。10代のクローン病患者の診断・治療の経過を振り返り、今後の治療に生かしたい。【方法】当院で2011年1月から2023年12月に当院初診の10代クローン病患者19名についてその診断と治療、経過を後方視的に検討する。【結果】19名の内訳は男子17名、女子2名、年齢は12歳から19歳(平均15.9歳)であった。肛門病変を有していたのは17名(89.5%)で、主訴も肛門痛などの肛門病変によるものであった。肛門病変のない2名は主訴が腹痛であった。肛門病変を有していた17名のうち、15名は痔瘻、肛門周囲膿瘍が認められ、残り1名はcavitating ulcerのみ、もう1名は肛門上皮から皮膚にかけての多発裂傷のみであった。痔瘻、肛門周囲膿瘍が生じていた15名の肛門手術回数は1回から5回で、現在も肛門病変を有している患者は1名のみであった。当院で診断した患者はloose setonによるドレナージなどが施行されてから、1ヶ月程度で生物学的製剤を導入されている例が多かった。初回の生物学的製剤の選択はインフリキシマブ9例、アダリムマブ5例、ウステキヌマブ4例、ベドリズマブ1例であった。現在はインフリキシマブ4例、アダリムマブ2例、ウステキヌマブ9例、リサンキズマブ2例、ベドリズマブ1例、ウパダシチニブ1例であり、バイオスイッチしている例もみられた。腹部手術症例は腹痛が主訴の2名のうち1名に施行されたが、肛門病変を有していた17例には施行されていなかった。【考察】10代のクローン病患者は肛門病変を有する例が非常に多い。そのため、10代の痔瘻、肛門周囲膿瘍を診察した場合は特徴的な肛門病変でなくてもクローン病を念頭に置き、肛門精査時には内視鏡検査も可能な限り行い、病理検査は必ず施行するべきである。診断後には早急に生物学的製剤を導入することで肛門病変を寛解させることができ、腸管病変の増悪を防ぐことができる。その結果、大切な進学・就職の時期の10代のクローン病患者のQOLを向上させ、将来の道につなげていくことができる。