Presentation Information
[WS4-5]Clinical Course and Diagnostic Yield of Crohn’s Disease in Adolescents with Perianal Abscesses
Shohei Yonemoto, 岡本 康介, 紅谷 鮎美, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 國場 幸均, 下島 裕寛, 宋 江楓, 河野 洋一, 松村 奈緒美, 小菅 経子, 鈴木 佳透, 松島 小百合, 酒井 悠, 佐井 佳世, 松島 誠 (Matsushima Hospital Proctology Center)
【背景】10代はクローン病(以下、CD)の好発年齢であり、肛門周囲膿瘍を初発とする症例も多い。排膿術後の瘻孔形成や治癒遷延はCDを示唆しうるが、既往のない若年者の転帰や診断経過は不明な点が多い。
【目的】10代の肛門周囲膿瘍患者の転帰とCDとの関連を明らかにする。
【方法】2020〜2024年に切開排膿術を施行した10代128例を対象とし、患者背景、全大腸内視鏡検査(以下、TCS)結果、根治術の転帰などを後方視的に検討した。
【結果】男性:女性=112:16例、年齢中央値は16歳(10〜19)、炎症性腸疾患(以下、IBD)の家族歴は3例(2%)であった。切開排膿は局所麻酔:脊髄くも膜下麻酔=44:84例で行われ、膿瘍分類はIIA:IIIA:IVA=120:6:2例、一次口は単発:多発=97:31例であった。肛門潰瘍などCDに特徴的な肛門病変は27例(21%)に認めた。切開排膿術後にTCSは115例(90%)に施行され、39例に縦走潰瘍などIBDに特異的な所見を認めた。TCSで特異的所見を認めなかった75例のうち、カプセル内視鏡検査は9例に施行され、2例にアフタなど特異的な所見を認めた。内視鏡検査後のIBD診断は、CD否定70例(55%)、CD確診34例(27%)、CD疑診9例(7%)、潰瘍性大腸炎1例(1%)であった。次に痔瘻根治手術の成績を示す。根治術は56例(44%)(CD否定53例、CD疑診3例)に施行された。根治術後診断はIIL:IIH:IIIU=30:1:4例であった。創治癒までの中央値は89日(29~269)、治癒遷延(90日以上または未治癒)は18例で、そのうち5例に再手術が行われた。治癒遷延例のうち2例は根治術前からCDが疑われ、2例は根治術後にCDが疑われた。3年以上未治癒で経過する症例も存在した。
【考察】肛門所見からのCD疑診例は21%にとどまったが、内視鏡検査の結果を加味するとCD疑診・確診例は全体の34%を占めた。肛門所見のみならず、積極的な消化管精査の必要性が示唆された。また、痔瘻根治術後の治癒遷延の経過中にCDが疑われた症例が存在したことからも、若年者の根治手術の適応は慎重になる必要がある。
【まとめ】若年者の肛門周囲膿瘍に対しては、高いCD有病率を念頭に置き、診断・治療を進める必要がある。
【目的】10代の肛門周囲膿瘍患者の転帰とCDとの関連を明らかにする。
【方法】2020〜2024年に切開排膿術を施行した10代128例を対象とし、患者背景、全大腸内視鏡検査(以下、TCS)結果、根治術の転帰などを後方視的に検討した。
【結果】男性:女性=112:16例、年齢中央値は16歳(10〜19)、炎症性腸疾患(以下、IBD)の家族歴は3例(2%)であった。切開排膿は局所麻酔:脊髄くも膜下麻酔=44:84例で行われ、膿瘍分類はIIA:IIIA:IVA=120:6:2例、一次口は単発:多発=97:31例であった。肛門潰瘍などCDに特徴的な肛門病変は27例(21%)に認めた。切開排膿術後にTCSは115例(90%)に施行され、39例に縦走潰瘍などIBDに特異的な所見を認めた。TCSで特異的所見を認めなかった75例のうち、カプセル内視鏡検査は9例に施行され、2例にアフタなど特異的な所見を認めた。内視鏡検査後のIBD診断は、CD否定70例(55%)、CD確診34例(27%)、CD疑診9例(7%)、潰瘍性大腸炎1例(1%)であった。次に痔瘻根治手術の成績を示す。根治術は56例(44%)(CD否定53例、CD疑診3例)に施行された。根治術後診断はIIL:IIH:IIIU=30:1:4例であった。創治癒までの中央値は89日(29~269)、治癒遷延(90日以上または未治癒)は18例で、そのうち5例に再手術が行われた。治癒遷延例のうち2例は根治術前からCDが疑われ、2例は根治術後にCDが疑われた。3年以上未治癒で経過する症例も存在した。
【考察】肛門所見からのCD疑診例は21%にとどまったが、内視鏡検査の結果を加味するとCD疑診・確診例は全体の34%を占めた。肛門所見のみならず、積極的な消化管精査の必要性が示唆された。また、痔瘻根治術後の治癒遷延の経過中にCDが疑われた症例が存在したことからも、若年者の根治手術の適応は慎重になる必要がある。
【まとめ】若年者の肛門周囲膿瘍に対しては、高いCD有病率を念頭に置き、診断・治療を進める必要がある。