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[WS5-4]Has the inclusion of robotic rectal surgery in national health insurance coverage contributed to anal preservation rates in rectal surgery? -An analysis using NDB database-

Kenji Nanishi, 有田 智洋, 清水 浩紀, 木内 純, 塩﨑 敦 (Division of Digestive Surgery, Department of Surgery Kyoto Prefectural University of Medicine)
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【背景】ロボット直腸手術は2018年の保険収載を経て国内で急速に広がり、多関節機能や安定した視野による骨盤内での手技向上が示唆されている。
【目的】本邦におけるロボット直腸手術の拡大と、直腸手術における肛門温存率の関係について検討する。
【方法】内視鏡外科学会プロクターリストと住民基本台帳のデータから、2022年時点での各都道府県のプロクター(大腸)の数、プロクター1人あたりの人口を算出した。NDBデータを用いて、東京都と政令指定都市を持つ15の道府県における2016-2022年の年次毎の手術件数を解析した。肛門温存率の指標として直腸切除・切断術の件数(直腸手術件数)に対する直腸切断術の割合(APR率)を用いた。2022年時点での①プロクターの数≧5人かつ②プロクター1人あたりの人口≦55万人の都道府県をロボット早期導入群(早期群)と定義し、上記の16都道府県を早期群(東京/静岡/愛知/京都/大阪/岡山)と対照群(北海道/宮城/埼玉/千葉/神奈川/新潟/兵庫/広島/福岡/熊本)に分類し、両群の手術内容の推移を観察し、APR率をWald検定を用いて解析した。
【結果】2022年時点のプロクターは全国で224人、各都道府県における平均人数は4.8人、全国のプロクター1人あたりの人口は559897人であった。直腸手術件数は観察期間中に大きな変化はなく(2016年:早期群12157件、対照群14510件 2022年:早期群11821件、対照群14061件)、直腸手術件数における腹腔鏡手術の割合は増加し(2016年:早期群65.1%、対照群64.0% 2022年:早期群83.6%、対照群82.6%)、特にAPRで増加率が高かった(2016年:早期群57.5%、対照群54.3% 2022年:早期群81.3%、対照群81.7%)。APR率(早期群vs対照群)は
2016年 14.6% vs 14.4%; p=0.660
2017年 14.1% vs 14.2%; p=0.648
2018年 13.8% vs 14.3%; p=0.266
2019年 13.8% vs 14.1%; p=0.474
2020年 13.0% vs 14.0%; p=0.009
2021年 12.6% vs 13.3%; p=0.082
2022年 12.4% vs 13.7%; p<0.001
であり、早期群ではAPR率が低下傾向で、2020年、2022年のAPR率は対照群よりも有意に低かった。
【結論】本邦におけるロボット直腸手術の拡大が、肛門温存率の向上に寄与した可能性が示唆された。