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[WS6-9]Surgical Treatment and Management of Diverticulitis Complicated by Fistula in Our Hospital

Yuika Kureyama, 柏木 惇平, 高橋 泰宏, 冨田 大輔, 前田 裕介, 平松 康輔, 岡崎 直人, 福井 雄大, 花岡 裕, 戸田 重夫, 上野 雅資, 黒柳 洋弥 (Toranomon Hospital)
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【背景】大腸憩室炎によって膿瘍が形成され, 他臓器に穿破する, あるいは繰り返す憩室炎により炎症性癒着を形成することで生じる瘻孔合併憩室炎は大腸憩室炎の4~20%に合併するとされる. 合併臓器として膀胱や子宮などがあり, 瘻孔が自然閉鎖することはない. 大腸憩室症のなかでは比較的まれな疾患であったが, 大腸憩室症の増加により診療する機会は多くなっている. その中でS状結腸と膀胱の瘻孔を形成する場合が最も多く, 繰り返す尿路感染症を呈するために, 根治的手術が推奨される. 比較的まれな疾患であるために外科治療および周術期管理のプランは施設間で異なっている. 本研究の目的は当科における瘻孔合併憩室炎に対する治療成績と手術における工夫を供覧することである.
【方法】2006年から2025年3月までの間に当科で瘻孔合併憩室炎と診断し手術治療を施行した100例を対象とし, 後方視的に検討した. 当科では術前にCTやMRIで瘻孔と膿瘍の位置を検討し, 尿管に近接している症例には術前に尿管ステントを挿入している. また瘻孔合併憩室炎に対して腹腔鏡下手術を積極的に行っており、本検討に関しては腹腔鏡手術が99例, 開腹手術が1例であった.
【結果】年齢の平均値は60.3歳,男性87例,女性13例であった. 病変はS状結腸99例, 直腸1例, 瘻孔形成臓器は膀胱が最多で98例, 子宮が1例, 精嚢が1例であった. 65例に術前尿管ステントを挿入した. 術式は結腸切除術が80例, ハルトマン手術が4例, マイルズ手術が1例, 直腸前方切除術が15例であった. 手術時間の中央値は240分で, 出血量は50g, 開腹移行率は0%であった. 術中の合併症として尿管損傷を1例に認めた. Clavien-Dindo分類グレードⅢa以上の術後合併症(吻合部出血, 術後膿瘍)は8例(8%)あった. 術後在院日数の中央値は10日であった.
【結語】当科では比較的多くの瘻孔合併憩室炎を経験しており, 術前に十分に準備をしたうえで臨むことにより安全に鏡視下手術が施行可能であった. 当科における術中の工夫について実際のビデオを供覧しながら概説する.