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メインシンポジウム 2 個別化ヘルスケアと産業保健

Thu. May 15, 2025 4:00 PM - 6:00 PM JST
Thu. May 15, 2025 7:00 AM - 9:00 AM UTC
第1会場 仙台国際センター 展示棟 1F 展示室3
座長: 泉 陽子(東北大学東北メディカル・メガバンク機構 健康政策分野), 立道 昌幸(東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
 疾患の発症には、個人の生まれ持った体質と、生活習慣や職場環境などの環境要因に、時間の要素や性差が関わっていると考えられている。これに着目して、個人に合った予防や治療を提供する、という考え方が個別化ヘルスケアであり、画一的な予防や治療に比べ、より精密に効果を上げるものと期待されている。
 特に、遺伝子に着目した文脈で語られることが多く、ゲノム医療といえば、がん組織にみられる遺伝子の変異に着目した治療薬の選択や、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)のように単一遺伝子によるリスクを持つ方の予防手術などが思い浮かぶであろう。あるいは非常に稀な病態の診断のために、親子トリオのゲノム解析結果から原因遺伝子を探索する取組などをご存じの方も多いかもしれない。

 これに対し、今回のシンポジウムで主に取り上げるのは、診断・治療ではなく予防、その中でも、HBOCのような単一遺伝子の影響によるものではなく、糖尿病や心疾患など、多数の遺伝子と生活習慣を含む種々の環境要因が関与する一般的な疾患である。このような疾患では、個々の要素の寄与はごくわずかでも、その組合せにより将来の発症リスクの高低を予測できるのではないかと期待されており、疾病予防アプローチの変革につながる可能性がある。
例えば、血圧の高めの人の中で、生活習慣に比べ非常に遺伝要因の大きい人と、生活習慣要因の大きい人を見分けることができたら、画一的な食生活・運動指導とは異なる戦略がとれるのではないだろうか? 現在の血圧は高くないものの、遺伝的なリスクが非常に高い若者がいたら、個別に、定期的な血圧測定や生活習慣改善をアドバイスできるのではないだろうか?

 このようなリスク予測は日進月歩で開発中の技術であり、実社会に大規模に応用されるには至っていないが、今後数年のうちに、より身近な話になってくるであろう。また、これが産業保健の現場に持ち込まれる場合、新たな複雑な問題が生じてくると想像される。

 このような状況を踏まえ、産業保健関係の方々に現在の研究状況を情報共有するとともに、近未来にそなえてさまざまな課題をともに考える機会として、今回のシンポジウムを企画した。
 第1席では議論の前提となる基礎的な情報の共有を行い、第2席では東北メディカル・メガバンク計画の一般住民ゲノムコホートのデータをもとにした多因子疾患発症リスク研究を紹介し、疾病予防への意義を考える。続く第3席では、産業医の立場から、発症リスク情報が産業保健現場にもたらされた場合、就業上の措置や安全配慮義務にどのような課題が生じてくるのかの問題提起を行う。最後に第4席では、個別ヘルスケアにおける倫理・法制度・社会的課題を取り上げる。
 ぜひ参加者の皆さまからも多数、質問やご意見をいただき、今後の議論のきっかけとなるシンポジウムとしたい。

[MS2-1]個別化ヘルスケアと産業保健の現在地~多因子疾患の予防を中心に~

泉 陽子1 (1.東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 バイオバンク部門 健康政策分野)

[MS2-4]個別ヘルスケアにおける倫理・法制度・社会的課題

李 怡然1 (1.東京大学医科学研究所 公共政策研究分野)