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[I-P01-4-02]フォンタン循環における心拍指標と心血管機能の関連

佐藤 啓1, 松尾 悠1, 工藤 諒1, 西村 和佳乃1, 高橋 卓也1, 齋藤 寛治1, 滝沢 友里恵1, 桑田 聖子1, 中野 智1, 小泉 淳一2, 齋木 宏文1 (1.岩手医科大学附属病院 小児科, 2.岩手医科大学附属病院 心臓血管外科)
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Keywords:

フォンタン循環,pulse wave velocity,心拍変動

【背景】脈波伝播速度(pulse wave velocity:以下PWV)は心血管機能評価に広く用いられており、フォンタン術後では正常に比してPWVが上昇しているという報告もある。近年では心血管イベントおよび自律神経機能と関連のある心拍変動(heart rate variability:以下HRV)とPWVを組み合わせた解析も注目されている。フォンタン術後の心拍指標と心血管機能との関連について検証を行った。【対象と方法】2022年4月から2023年3月に心臓カテーテル検査を施行したフォンタン術後患者20例(年齢中央値:12.3歳[2.3-26.7])を対象として、身長、体重および循環動態指標(血圧、CVP、EDP、PAWP、EF、PWV、BNP、P-3-P、4型コラーゲン)と直近のHolter心電図におけるHRVを含めた心拍指標(THB, min HR, mean HR, max HR, SDNN, RMSSD, 総RR50, HF, LF/HF)との関連について検討した。脈波伝播速度は、[1]上行大動脈起始部および[2]総腸骨動脈手前で計測した脈波伝播時間の差(Δt2-Δt1)で2点間の引き抜き距離を除して算出した。【結果と考察】PWVは収縮期血圧[p=0.0033]、拡張期血圧[p=0.0005]のいずれとも正相関を認めた。心拍指標では副交感神経活性指標である総RR50の低下との関連を認めた[p=0.0220]。一方、高いmin HRはBNP[p=0.0363]の上昇およびSDNN[p<0.0001]、RMSSD[p=0.0026]、HF[p=0.0241]の低下と関連していた。また高いmean HRはCVP[p=0.0186]、EDP[p=0.0068]、PAWP[p=0.0295]の高値と関連し、さらに肝繊維化マーカーであるP-3-P[p=0.0133]、4型コラーゲン[p=0.0145]と正相関を認めた。心疾患予後との関連が指摘されるSDNNの低下や副交感神経活性指標の低下は、硬い心血管を背景とした好ましくないフォンタン循環を反映している可能性が示唆された。【結論】フォンタン術後において心拍指標と心血管機能は密接に関連しており、いずれの視点からも定期的に評価することでフォンタン循環不全の早期発見に寄与し得る。