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[I-P01-4-07]年齢別Myocardial Workの基準値の確立と心機能異常検出の鋭敏性の検討

岩原 可名人1, 西山 樹1, 高橋 健2, 赤塚 祐介1, 佐藤 浩之1, 加護 祐久1, 秋谷 梓1, 細谷 優1, 重光 幸栄1, 東海林 宏道1 (1.順天堂大学 医学部 小児科・思春期科, 2.順天堂大学 医学部付属浦安病院 小児科)
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Keywords:

Myocardial Work,心機能,がん治療関連心機能障害

目的Myocardial Work( MW)は、左室(LV)の収縮機能を評価する新たな指標として注目されており、圧ストレインループ解析を用いることで、後負荷の影響を考慮したLV機能評価が可能となり、左室ストレイン(GLS)解析よりも優れた心機能指標とされる。本研究の目的は、健常な小児および青年期におけるMW指標の年齢別基準値を確立することである。方法健康なボランティアおよび無害性雑音の評価目的で心エコーを受けた120名の被験者を対象に、年齢に応じて3群(N1: 10歳未満、N2: 10-20歳、N3: 20歳以上)に分類しMW指標を解析した。また、疾患群における心機能異常の検出の有用性を検証するために、アントラサイクリン治療を受けた小児がん生存者における心機能障害検出におけるMW指標の有用性を検証するために、ストレインの低下していないBCP-ALL生存者30例(11.2 ± 3.5歳)と、年齢をマッチさせた75名の正常対照群と比較を行った。MW指標としてGlobal Work Index (GWI)、Global Constructive Work(GCW)、Global Wasted Work(GWW)、およびGlobal Work Efficiency(GWE)を算出し(EchoPAC 203; GE Vingmed Ultrasound AS, Horton, Norway)、各部位(基部・中部・心尖部)を比較した。結果健常者では、年齢別にMW指標に大差はなかったが、各分画では解析では左心室基部から心尖部にかけMWが増加する傾向が確認された。BCP-ALL群では、GWI、GCWおよびGWWが有意に低下した。一方、GLSおよびGWEには有意差を認めなかった。これは、GLS解析のみでは検出できない収縮機能障害をMW解析がより鋭敏に捉える可能性を示唆する。結論本研究により、小児・青年・若年成人におけるMW指標の正常値が部位別に明らかにされた。また、左室駆出率や左室ストレインが低下していないBCP-ALL生存者ではGWIおよびGCWの有意な低下が認められ、MWが左室収縮機能障害を従来の左室ストレイン解析より鋭敏に検出できる可能性が示唆された。