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[I-PD3-2]埼玉県における胎児診断と遠隔システムの現状を把握し更なる向上を目指す

百木 恒太1, 星野 健司1, 中村 祐輔1, 築野 一馬1, 大森 紹玄1, 増田 詩央1, 真船 亮1, 河内 貞貴1, 清水 寿和2, 鵜垣 伸也2, 野村 耕司2 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)
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Keywords:

胎児診断率,遠隔システム,先天性心疾患

【背景】当院はさいたま市に位置し2017-2024年で2424件のレベル2胎児心エコー検査を実施し、また県内で一方向性の遠隔システムを導入している。【目的】胎児心臓病学会ガイドラインで示されている「周産期管理方針表ケアレベル2以上」の先天性心疾患(CHD)の胎児診断率と遠隔システムの現状と問題点を明らかにし、今後の胎児診断率の向上と遠隔システムの在り方について考える。【対象と方法】2017年-2024年11月の期間でケアレベル2以上のCHDの心臓外科手術例における胎児診断率と遠隔システムの使用状況を診療録とViewPalから検討する。【結果】ケアレベル2以上の主な胎児診断率(数)は、単心室/左心低形成症候群類縁疾患85.7%(79/92例)、房室中隔欠損症62.9%(22/35例)、完全大血管転位症58.7%(27/46例)、ファロー四徴症62.4%(53/85例)、大動脈縮窄/離断症33.3%(19/38例) 、総肺静脈環流異常症/三心房心25.0%(6/24例)であった。遠隔システムの開始時は23施設が登録されたが、2022年3月時点で11施設(48%)と減少した。所在地が20km以上は2施設(8.7%)と遠隔地運用は少なかった。遠隔システムを良く活用する施設は画質も良好で異常を検知でき、その施設の判断でレベル2へ紹介できる水準にある一方で、画質が不十分で判断不能な施設も存在し施設間の差が大きかった。【考察】2017年以降の主なCHDの胎児診断率は全国平均をやや上回ったが、診断が難しい症例は同じく困難な傾向があった。さいたま市において近隣に所在し当院へのアクセスが容易な施設の遠隔システムのメリットは少ないと考えられた。遠方の施設や十分なスクリーニングができない施設を対象として教育を含めた双方向性の遠隔システムが効率的と考えられた。【結語】対象と目標を正しく決めた継続できる遠隔システムの構築が胎児診断率の向上につながる可能性がある。