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[II-OR22-05]The Association of BMPR2 Mutation and Perinatal Insult in the Development of Pulmonary Hypertension

Mami Takeoka, Hirofumi Sawada, Yoshihide Mitani, Yutaka Otobe, Naoki Tsuboya, Kazunobu Ohya, Noriko Yodoya, Hiroyuki Ohashi, Tomoya Harada, Masahiro Hirayama (The Department of pediatrics, Mie University hospital, Mie, Japan)
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Keywords:

肺動脈性肺高血圧,BMPR2遺伝子変異,子宮内胎児発育不全

【背景】骨形成蛋白受容体II型(BMPR2)遺伝子変異は、肺動脈性肺高血圧の原因遺伝子で、肺高血圧(PH)発症には付加的因子が必要とされる。また、BMPR2シグナル伝達は肺胞形成異常との関連が示唆される。子宮内胎児発育不全(IUGR)は、肺胞や血管の発達が阻害され、新生児期PHのリスク因子であるが、PH発症における遺伝子変異との関連は明らかでない。【目的】IUGRに至る周産期侵襲は、BMPR2遺伝子変異個体の成体期PHを増悪させるか否かを母体一酸化窒素(NO)阻害IUGRラットモデルで検証する。【方法】IUGRラットは、野生型雌(W)とBmpr2変異雄(B)を交配し、胎生17日から生食(C群)またはNO阻害剤(L-NAME、L群)を浸透圧ポンプを用いて皮下持続投与し作成した。得られた仔ラットを4群(C/W, C/B, L/W, L/B)に分け、生後3 日(C/W, n=10[雄]:10[雌]; C/B, n=10:10; L/W, n=10:10; L/B, n=10:10)と7週(C/W, n=23[雄]:17[雌]; C/B, n=18:12; L/W, n=17:20; L/B, n=21:25)の血行動態、肺組織、BMPR2経路を評価した。【結果】新生児期にL群はC群より体重が低く(p<0.05)、肺胞拡大(mean linear intercept [MLI]=72 vs 102, p<0.05)を認めた。日齢21までL群はC群より体重が低く、L/B群はC/W群(p<0.005)、C/B群(p<0.01)、L/W群(p<0.05)より低かった。雌ラットではL/B群はC/W群よりも低く(p<0.05)、発育遅延は軽度であった。肺血管病変はL群で増悪し(筋性化病変=29 vs 42, vessel density=6.4 vs 2.8, p<0.05)、L/B群はL/W群より肺胞拡大 (MLI=48 vs 58, p<0.05) を認め、肺血行動態はPH傾向であった。肺BMPR2発現は、L/W群で低下し(p=0.048)、L/B群でさらに低下した(p<0.01)。【結論】Bmpr2変異を有するIUGRラットでは、出生後の顕著な発育遅延と持続性肺胞形成異常を認め、周産期侵襲への脆弱性が示された。BMPR2経路を標的とした周産期障害後心肺後遺症治療の可能性を示唆する。