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[II-P01-5-03]後尖の構造異常を認めた先天性僧帽弁逆流症の3乳児例

中村 太地1, 水冨 慎一朗1, 久保 達哉1, 岩崎 秀紀1, 井美 暢子1, 太田 邦雄1, 山田 有希子2, 村田 明2, 安藤 誠3 (1.金沢大学 医薬保健研究域医学系 小児科, 2.金沢大学 医薬保健研究域医学系 心臓血管外科, 3.金沢医科大学 小児心臓血管外科)
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Keywords:

先天性僧帽弁逆流,僧帽弁形成術,心エコー

【緒言】先天性僧帽弁逆流症(CMR)は、小児において稀な疾患であり、その病態は多様で、重症例では早期に外科的介入が必要となることも多い。当院で診断した後尖の構造異常を伴うCMR3例について、後方視的に画像を検討し、術前診断の重要性について考察する。【症例1】11ヶ月、男児。受診前日より活気不良と頻呼吸を認めたことを契機にMRによる心不全と診断された。術前の心エコーでは僧帽弁前尖逸脱を認め、僧帽弁形成術(Kay-Reed法)が施行された。術中所見で後尖のplasteringを認めたためEbstein´s anomalyと診断した。術後11日目に遺残MRに伴う肺出血と肺高血圧の増悪を認めたため、術後20日目に僧帽弁置換術を施行。【症例2】日齢19、男児。生後、心雑音を契機に膜様部心室中隔欠損症 (VSD)と診断された。乳児期後半にかけてMR増悪を認めたため、心臓カテーテル検査を行い、肺体血流比1.6、左室容積は正常比257%であった。経食道心エコーでは僧帽弁前尖逸脱を認め、逆流率26%(PISA法)であり、2歳でVSD閉鎖と僧帽弁形成術(Kay-Reed法、後尖二次腱索切断)が施行された。術中所見で後尖腱索の著しい短縮を認めた。術後はMRの逆流率は10%程度まで低下した。【症例3】2ヶ月、女児。受診1週間前より哺乳量低下、多呼吸を認めたことを契機に大動脈縮窄症(CoA)と診断。後負荷不整合に伴う心機能低下と重度のMRも認めた。緊急でCoA修復術が施行され、徐々に心機能は改善したが、術後もMRは残存した。心エコー上、後尖の可動が不良で腱索の短縮によるCMRを疑っている。心不全症状はなく、内服経過観察中。【結論】乳児期に発症する重症MRではCMRを念頭に正確な術前診断を行い、最適な手術戦略を立てることが、良好な治療成績を得るために不可欠であると考えられる。