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[II-P01-6-07]心筋症を合併したVSDに心内修復術を行ったTAB2遺伝子変異の2症例

増田 詩央1, 中村 祐輔1, 築野 一馬1, 大森 紹玄1, 百木 恒太1, 真船 亮1, 河内 貞貴1, 星野 健司1, 鶏垣 伸也2, 濱屋 和泉2, 野村 耕司2 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.埼玉県立小児医療センター 心臓外科)
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Keywords:

TAB2遺伝子異常,心筋症,VSD

【背景】TAB2遺伝子は染色体6q25.1に位置し, 遺伝子変異や機能喪失型変異により, 成長障害, 結合織障害, 発達遅滞の他, 先天性心疾患や心筋症, 不整脈を呈する. 心疾患は多弁異形成の他, VSD, CoAなど多岐にわたる. DCM発症時期は出生時から成人期まで幅広い. TAB2遺伝子変異症例に心内修復術を行った報告は少なく, その転帰は明らかでない.
【症例1】当院紹介時, 7か月齢. VSD 9mm, 左室心筋の菲薄化と右室優位の心機能低下あり当初は開心術困難と判断した. 主に利尿剤強化によるpreloadの軽減で経時的に左室機能の改善を認めた(LVEF 37→54%). 1歳2か月時, 心臓カテーテル検査を行った. PA 40(27)mmHg, Pp/Ps 0.60, Qp/Qs 2.52, Rp 2.0, CI 3.63, RVEDV 154%N, RVEF 62%, LVEDV 226%N, LVEF 63%より, 心内修復術可能なデータであった. カテーテル検査翌日 原因不明の高熱, 頻脈を契機に循環不全に陥り, ECMO導入, 6日後に離脱した. その後も感染に伴う循環不全を繰り返した. 1歳5か月時, VSD patch closure, TV plasty, RV muscle biopsyを施行した. 術後4日目から12日目ECMO管理を要した. カルベジロールを慎重に導入しつつ, 緩徐に強心剤を減量し, 術後129日目に強心剤を終了した.
【症例2】胎児診断症例. NICU入院中に気管支軟化症と指摘された. VSD 6mm, 生後6か月時, PA 52(37)mmHg, Pp/Ps 0.9, Qp/Qs 2.18, Rp 4.7, CI 2.64, RVEDV 278%N, RVEF 38%, LVEDV 276%N, LVEF 38%, 酸素負荷へ反応を認めた. 両心室収縮低下あり, PFOを残した心内修復術の方針とした. 7か月時, VSD patch closure施行した. ピモベンダンやカルベジロールを導入し, 術後47日目に強心剤を終了した.
【考察】DCM合併例ではVSDの左心系容量負荷は心負荷を増大させることになるが, 人工心肺手術の耐術可能かが議論になる. 明確な基準はなく, 最終的にはチームで方針決定をすることになる. 文献的知見を踏まえて考察する.