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[II-P03-1-07]右側相同心、単心室症例における心臓型総肺静脈還流異常合併の臨床的意義

荒木 幹太1, 石津 寛治1, 中村 香絵2, 佐々木 赳2, 藤野 光洋2, 川崎 有希2, 吉田 葉子2, 鈴木 嗣敏2, 杉山 央2, 鍵崎 康治1, 小澤 秀登1 (1.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科, 2.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科不整脈科)
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Keywords:

右側相同心,総肺静脈還流異常,心臓型

【背景】
右側相同心(RIH)における心臓型総肺静脈還流異常(cTAPVC)では,明確な治療適応はなく,その臨床的特徴や経過についての報告も少ない.
今回,当院におけるcTAPVC有するRIHに対する肺静脈還流障害の特徴,及び治療介入の実際を報告する.
【方法】
2009年から2024年の間に,RIHを21例認め,うちcTAPVCを合併する症例は8例であった.この8例において,心房内の肺静脈開口部に対する心房中隔remnantの関連など,肺静脈還流に関与する心内腔の解剖学的特徴と,心房に還流するまでの左右の肺静脈長や,Apico-aortic juxtaposition (AAJ)など,肺静脈還流経路に関与する心外の解剖学的特徴の有無を,各症例で詳細に精査し,それぞれの症例の治療経過への影響について検討した.
【結果】
心房の肺静脈開口部に心房中隔remnantが騎乗する形態を認めたのは4例であった.心房に還流するまでの左右の肺静脈長に不均衡を認めたのは4例で,AAJの形態は5例で認めた.
Glenn到達前に窒息にて死亡した1例を除き,全例が生存しており,現在のstatusはGlenn前1例,Fontan前2例,Fontan後4例.肺静脈還流障害に対する外科介入は,全7例に計11回施行した.
解剖学的特徴と治療経過の関係については,心内腔の解剖学的特徴である肺静脈開口部へのIAS remnantの騎乗を認めた4例では,Glenn前の早期の段階からFontan時までのあらゆる段階において,全例でIAS remnantの切除を行った.
また,心房に還流するまでの左右の肺静脈長に不均衡を認めた症例や,AAJ形態の症例など,肺静脈還流経路に関与する心外の解剖学的特徴を認めた症例では,Glenn以降のvolume reductionが始まる時期において,肺静脈に対する治療介入を行った(cutback2例,sutureless pericardial marsupialization 4例).
【まとめ】
cTAPVCを伴うRIHにおいて,肺静脈還流障害を来しやすい心内腔や心外の解剖学的特徴を常に考慮し,Fontan strategyの様々な段階において治療適応を検討する必要性が示唆された.