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[II-TRP1-4]医療的ケアを要する先天性心疾患患児の就園状況調査:患者家族へのアンケート調査結果

清水 大輔1,2, 宗内 淳1, 大野 拓郎3, 山村 健一郎4, 佐川 浩一5, 須田 憲治6, 家村 素史7 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.産業医科大学 小児科, 3.小倉医療センター 小児科, 4.九州大学 小児科, 5.福岡市立こども病院, 6.久留米大学 小児科, 7.聖マリア病院 小児科)
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Keywords:

先天性心疾患,就園,インクルーシブ教育

【目的】重症先天性心疾患(CHD)児の救命率が向上した一方、就園年齢で医療的ケアが必要なCHD児が増加している。本調査はCHD児のインクルーシブ教育を実現させるため福岡県の現状調査を目的とした(倫理委員会承認番号UOEHCRB22-074)。【方法】福岡県内で小児循環器診療を行っている7医療機関において、就園時期に内服加療を要し年間複数回受診歴のあったCHD患者とその家族を対象とし、入園時における医療的ケアの状況についてアンケート調査した。染色体異常・奇形症候群と診断を受けている児は除外した。【結果】対象109家族に対してアンケート調査を依頼し、46家族から回答を得た(回答率42%)。80%の患児が複数回の手術を受けていた。就園時に、在宅酸素実施例N=7(28%)、ペースメーカー植込み例N=1(2%)、内服例N=37(80%)であった。運動制限必要例N=27(59%)であった。在宅酸素必要例は保育園や幼稚園に比べて、認可こども園(N=3)、障害児総合療育施設(N=1)、児童発達支援センター(N=2)、自宅保育(N=1)に就園している傾向(計N=7、P=0.03)があった。対象患児のいずれの就園施設においても約80%で通園中の内服治療に対する障壁はほとんどなかった。「就園に関して困ったこと・気になること」に関する回答(N=19)は、「就園施設の選択自由がないこと」(N=7)「周囲の理解が乏しいこと」(N=6)「他児と同じことをさせてあげられないジレンマ」(N=3)の3項目に大別された。【結論】内服治療への障壁はないもものの、在宅酸素療に対する漠然とした不安が就園施設側に垣間見られ、医療的ケアを必要とする先天性心疾患の児の就園の制限となっている可能性が示唆され、そのことが患児家族の不安にも現れていた。CHD児のインクルーシブ教育実現のためには就園施設・患者・医療者の間で十分な情報共有が重要であり、行政を交えて、そのための体制づくりが必要である。