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[III-OR31-06]Mid-term preventive effect of aortic dilatation after aortic reconstruction using the chimney technique for hypoplastic left heart syndrome

Takeaki Harada, Haruhiro Nagase, Kensaku Matsuda, Syuhei Tobe, Narumitsu Kagoshima, Toshihide Nakano (The department of cardiovascular surgery, Fukuoka children's hospital, Fukuoka, Japan)
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Keywords:

Norwood手術,Chimney法,大動脈基部拡大

【目的】我々は以前、左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術(NW)においてChimney法は他の方法と比較して有意にRomanesque typeが多く術後の大動脈の狭窄に対する再介入率が少なく大動脈壁のdistensibilityが高いことを報告した。本研究では大動脈形成方法による術後の中期的な大動脈基部拡大や大動脈弁逆流の程度の観察、計測を行い比較検討したので報告する。【対象患者と方法】対象は2010年1月から2023年12月にHLHSに対してNWを行いフォンタン手術(F)まで到達した64例とした。Primary NWは28例、両側肺動脈絞扼術後のNWは36例であった。NW時の日齢と体重の中央値は45日、2.7kgであった。新大動脈形成方法はDirect anastomosis(DA)、Patch augmentation (PA)、Chimney technique (CT)でそれぞれ16例、28例、20例であった。FはNW後3.1年(中央値)で到達した。NW術後平均観察期間は6.75年であった。大動脈弁逆流の程度及び大動脈弁輪径、Valsalva径、STJ径、上行大動脈径をグレン手術(BDG)前、F前、F後のタイミングで施行したエコー検査及びカテーテル造影検査でそれぞれ測定し比較検討した。【結果】Valsalva径及びSTJ径はBDG前、F前でZscore は2から4の間で大動脈形成方法による有意差はなかったがF後ではDA、PA、CTでValsalva径は2.6±0.6、3.9±0.8、2.7±0.6(P=0.03)となりSTJ径は2.5±0.5、3.3±0.6、2.7±0.6(P=0.05)でPAで有意に拡大傾向が見られCTはDAと近似した結果となった。上行大動脈径と新大動脈弁輪径では形成方法による有意差はなかった。また新大動脈弁逆流は形成方法による有意差はなかった。【結語】Patch augmentationではフォンタン手術以降の時期になるとChimney 法やDirect anastomosisと比較して新大動脈基部に拡大傾向を認めChimney法による新大動脈基部拡大の予防効果はあると考えられた。しかし、弁輪径や弁逆流に関しては観察期間が短いため更なる経過観察期間が必要と考えられた。