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[III-P02-1-07]Partial remodeling technique with PTFE tricuspid valved conduit interdigitated with native pulmonary sinus

Yusuke Yamamoto, Hajime Sakurai, Takafumi Terada, Kentaro Suzuki, Yoshihito Morimoto, Kiyotaka Go, Hidenori Yamamoto, Taichi Kato, Naoki Ohashi, Masato Mutsuga (Nagoya University Hospital, Children's Heart Center)
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Keywords:

右室流出路再建,ゴアテックス製3弁付き導管,bulging sinus

【背景と目的】右室流出路再建(RVOTR)に用いる人工弁として,本邦では京都府立医科大学作製のゴアテックス製3弁付き導管(京都バルブ)が汎用されてきたが,この供給が困難となった近年は,bulging sinus(bs)を持たない直管型人工血管を用いた各施設自作の弁付き導管で代替されることが多く,遠隔成績への影響が懸念されている.この点に対処すべく当科が開発した,自己肺動脈壁と3弁付き直管型導管をinterdigitateさせてbsを再現する術式について,その詳細を報告するとともに,臨床応用を行った2症例について検討を行う.
【方法】対象は,1弁付きpatchによるRVOTRの遠隔期に肺動脈弁逆流から再手術となった2症例(症例1:7歳女児,両大血管右室起始, 症例2:11歳男児,純型肺動脈閉鎖症).術式は,いずれも径24mmのゴアテックス人工血管(bsなし)に3弁尖を縫着,背側のsinus二つを弁尖縫合線から5mmほどのmarginを残して切除,これと自己肺動脈弁組織のremnantを合わせるように縫着し,グラフトの切除部分を自己肺動脈後壁のsinusでinterdigitateするように再建.さらに,症例2については腹側のsinusについても切除,余剰を持たせたウシ心膜patchで補填する形でbsの再現を目指した.
【結果】両症例とも術後は安定した経過で退院.各種検査で良好な肺動脈弁機能を認めるほか,CTでは肺動脈基部にValsalva洞形態の再現が確認されている.
【考察と結論】Bsがもたらす流体力学的特性が,京都バルブの良好な成績に大きく寄与している事実を鑑みると,既製の人工血管に特殊な加工を施すことなく,自己組織を利用してbsを再建する本法の意義は少なくない.また,部分的に自己肺動脈組織が介在されていることから,将来的に経カテーテル的肺動脈弁置換術の適応となる可能性も残る.背側の二つに加え,腹側のsinusについても再建する有効性については,長期の経過観察や流体力学的解析の結果をふまえた検討を要する.