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[III-P02-2-02]新たな心血管修復パッチ・シンフォリウムの使用経験

小坂井 基史1, 村山 弘臣1, 岡田 典隆1, 山本 隆平1, 正木 祥太1, 安田 和志2, 河井 悟2, 鬼頭 真知子2, 今井 祐喜2, 田中 優2, 野村 羊示2 (1.あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科, 2.あいち小児保健医療総合センター 小児循環器科)
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Keywords:

心臓修復用パッチ,先天性心疾患手術,ファロー四徴症

【緒言】シンフォリウムは2024年6月から販売が開始された、本邦発の新たな心血管修復用パッチである。本製品は吸収糸と非吸収糸からなる編物に架橋ゼラチン膜を一体化した合成素材であり、生体内でゼラチン膜が自己組織と置き換わりながら分解される。その後吸収糸が分解されて非吸収糸がほどけることで、誘導された自己組織に伸張性が付与され、成長に伴う再手術リスクの軽減が期待できる。【目的】当院での経験をまとめ、希少な症例を提示する。【方法】シンフォリウムを使用した 8例、計11件の埋植を検討した。【結果】手術時月齢は中央値で 49.2ヶ月、体重は 8.2 kg。主診断はファロー四徴症(TOF) 3例、両大血管右室起始症(DORV) 2例、肺動脈閉鎖症 1例、大動脈縮窄複合 1例、修正大血管転位(ccTGA) 1例で、術式はTOF修復術 3例、肺動脈形成術 3例(単独 1例、肺静脈狭窄解除と併施 1例、右室肺動脈導管置換と併施 1例)、DORV修復術 1例、modified Konno手術 1例であった。埋植部位は、右室流出路5件(うち trans-annular patch 3件)、主肺動脈 2件、右肺動脈 2件、心室中隔 1件、肺静脈-左房経路 1件であった。死亡、再手術を含めた再介入、主要合併症などの有害事象は認めなかった。【症例 1】1歳女児。TOF修復術で trans-annular patchとしてシンフォリウムを使用した。半透明のシンフォリウム越しに、ePTFE sheet製のmonovalveがほとんど動いていないことが透見されたため、修正を要した。【症例 2】 3歳男児、ccTGAで double switch手術後。Senning経路の狭窄が進行し、シンフォリウムで拡大した。【症例 3】16歳男児。DORV術後の両心室流出路狭窄に対して modified Konno手術を施行、心内 re-routingと RVOTの拡大にシンフォリウムを使用した。【まとめ】シンフォリウムは様々な部位で安全に使用することができた。止血に困難を感じることもあったが、吻合操作や止血法を工夫することで改善できた。