Presentation Information
[III-P03-2-06]A neonatal case of surgical removal of a left ventricular thrombus complicated by congenital nephrotic syndrome.
○Kaito Sano, Hiroaki Sanmori, Saki Kinoshita, Kenji Morimoto, Ichiro Watanabe, Osamu Saitou (The Department of Intensive Care, Division of Emergency and Critical Care, Tokyo Metropolitan Children's Medical Center, Tokyo, Japan)
Keywords:
左室内血栓,先天性ネフローゼ症候群,新生児
【はじめに】血栓塞栓症は、先天性ネフローゼ症候群(congenital nephrotic syndrome:CNS)において頻度の高い合併症である。しかし、新生児期から血栓症を発症するCNSは珍しく、中でも左室内血栓を発症した新生児例の報告は稀である。【症例】在胎38週3日、身長49cm、体重2545g、Apgarスコア8/9で出生した日齢8の女児。来院当日に腹部膨満と嘔吐が出現し、腸捻転による腸閉塞を疑い緊急手術を施行した。術中所見では広範囲の小腸壊死を認めたが、腸管壊死の原因は同定されず、腸管切除及びストマ造設術後にPICUへ入室した。来院時の検査でAlb 0.7g/dL、蛋白尿3+を認めCNSと診断した。術後の心臓超音波検査で左室内腫瘤(13mm×7mm)を認めた。心収縮は保たれ拡張障害や弁逆流はなかった。Dダイマーの上昇はなく心臓腫瘍を疑ったが入室4日目の造影CTで両側腎梗塞があり、左室内血栓と診断し抗凝固療法を開始した。しかし、左室内血栓は消失せず、可動性も認めたため入室5日目に左室内血栓摘除術を施行した。人工心肺中に、頻回なACTの測定とヘパリンの追加投与を行うことで新たな血栓形成はなかった。術中所見では、左室心尖部と後壁側に20×10mm大の血栓があり、病理像はフィブリンが主体で血栓に矛盾しない所見であった。術後新規血栓症の予防として未分画ヘパリンを新鮮凍結血漿の持続投与と併用し、APTT 80~100秒を目標とした。入室10日目にアスピリンを開始、APTTの目標を40~60秒に変更した。血栓症の再発はなく生存している。【考察】本例は、CNSを背景に左室内血栓を形成し、その塞栓子が小腸の腸管壊死や両側腎梗塞を起こしたと考えた。左室内血栓の外科的摘除を支持する報告は多くないが、塞栓症の既往や可動性のある例では血栓塞栓症のリスクとなるため外科的摘除が考慮される。