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[I-JHRSJS-3]無症候性キャリアが成人になってからの問題:アドヒアランスの低下と薬の用量

志賀 剛1,2 (1.東京慈恵会医科大学, 2.東京女子医科大学)
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Keywords:

遺伝性不整脈,キャリア,成人

近年、遺伝性不整脈における遺伝子検査の一部が保険適用となり、専門医療機関における遺伝カウンセリング体制も整備され、発端者の家系精査や学校心臓検診を契機として、若年層を含む無症候性キャリアが同定されるに至っている。
1.成人移行期のアドヒアランスの問題
思春期から成人期にかけて、大学進学・就職・結婚といったライフイベントを機に、疾患管理に対する意識が変化する。無症候性キャリアの場合、本人が「病気である」という認識を持ちにくく、生活での制限や服薬に対するアドヒアランスが低下しやすい。医療者はエビデンスに基づきリスク評価と治療を勧めるが、患者・家族が抱える社会心理的背景や日本特有の文化的背景により、治療の受け入れにギャップを生じる。
2.薬物治療におけるジレンマ
無症候性キャリアに対し、致死的不整脈を予防しうる「適正な用量」についてエビデンスがない。一方で副作用(倦怠感、徐脈など)が発現した場合、治療継続が困難となる忍容性の問題もある。さらにアドヒアランスの客観的評価の困難さが挙げられる。抗不整脈薬であれば血中濃度測定による確認は可能であるが、β遮断薬などは難しい。また、結婚や出産を機に「薬を辞めたい」という相談を受けることがある。なかには服薬中断後にイベントが発現してしまう例も経験する。
3.循環器内科医はどうしたらよいのか。
治療・管理への抵抗があってもとにかく少なくとも定期的な12誘導心電図測定と受診を維持しつつ、疾患に対する最新の考え方と生活での対応を理解してもらうために継続的なフォローアップを行う努力が必要である。また、学会・社会が一体となり、正確な情報提供と啓発活動を行い、無症候であっても「守られるべき健康」としての認識を定着させなければいけない。日本人のライフスタイルや価値観に即した、遺伝性不整脈のキャリアに対する長期管理アルゴリズムの構築が求められる。