Presentation Information

[I-P05-05]徐脈頻脈症候群を伴うQT短縮症候群に対する薬物治療の一例

小田 武春, 立野 滋, 江畑 亮太, 鋪野 歩, 金澤 正樹 (千葉市立海浜病院 小児科)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

QT短縮症候群,接合部頻拍,キニジン

【背景】QT短縮症候群 (SQTS) は失神, 致死性不整脈, 突然死に至る稀な疾患で, 管理治療方法は確立していない. 徐脈頻脈症候群を伴ったSQTSに対して薬物治療を行なった一例を報告する.【症例】12歳男児, 家族歴に父は幼児期から徐脈頻脈で管理, 8歳時の心臓電気生理検査では心房内に心内電位が得られず, 20歳でペースメーカー(PM)治療を開始, 40歳時に心室細動で蘇生され植え込み型除細動器の植え込み術を施行した. 患児は在胎24週に胎児徐脈の診断, 出生後に接合部調律と徐脈を認め洞不全症候群の診断となった. 徐脈の進行とともに心拡大を認め, 3歳時にPM植え込み術を施行した. 左房の電位は認めず, ペーシング刺激に反応が無いためVVIペーシングとした. アトロピン静注後にRR間隔が不規則な上室性頻拍を認め, 接合部頻拍(JT)と判断した. 親子ともにKCNQ1-V141Mの遺伝子異常を認め, SQTS2の診断となった. PMチェックで7歳ごろからRR間隔不規則になり, 心拍数200/分から230/分, 持続時間2秒から32秒の頻拍が出現, JTと判断し, ビソプロロールの内服で頻度は一旦減少したが11歳時にJTの頻度が増加したためキニジンの内服を開始した. 内服開始後は短期的にはJTの頻度は減少した. 心室ペーシング中のQTcBは401msecから435msecへの延長にとどまった.【考察】SQTSにおいてキニジンの有効性を示したものが多い. KCNQ1-V141Mの異常を伴うSQTS2における致死性不整脈の報告は患児の父親が初めてで, 通常は心停止や心房細動の合併が知られている. 家族歴から致死性不整脈への移行も考慮し, 頻拍に対してビソプロロールとキニジンの併用を行い, QT時間延長は許容範囲であった.【結論】SQTSの男児に対して, 安全にキニジンを導入できた. 頻拍抑制と致死的不整脈の予防効果に関して, 注意深い観察が今後も必要と考えられた.