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[I-P05-10]PIK3CA関連過成長スペクトラムに異所性心房頻拍を合併した1例

野々原 洋輔, 鶴見 文俊, 宮里 茉樹, 堀 創馬, 上野 薫, 秋山 蒼, 久米 英太朗, 佐藤 一寿 (田附興風会 医学研究所 北野病院)
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Keywords:

異所性心房頻拍,PIK3CA関連過成長スペクトラム,不整脈

【背景】PIK3CA関連過成長スペクトラム(PROS)はPIK3CA遺伝子の体細胞モザイク変異により生じる過成長疾患群であり、PI3K-AKT-mTOR経路の恒常的活性化を特徴とする。本経路は心筋細胞の電気生理学的特性にも関与する可能性が示唆されているが、臨床的に不整脈との関連を検討した報告は少ない。
【症例】1歳男児。39週4日に経膣分娩にて4245gで出生。胎児期に不整脈の指摘はされていた。日齢4に200回/分以上の頻拍発作を認め、同日精査加療目的に当院に紹介入院となった。前額部突出、鼻根部低形成、小口などの特徴的な顔貌を認めた。心エコー検査では構造異常を認めず、心電図で異所性心房頻拍と診断した。頻拍発作はプロプラノロール0.1mg/kg投与で反応乏しく、ソタロール2mg/kg/dayに変更し、発作は抑制された。頻拍発作再発毎に漸増し、5.7mg/kg/dayで日齢70に退院した。生後7ヶ月頃から右半身の肥大が目立つようになったため、過成長症候群遺伝子検査を追加提出し、PIK3CA遺伝子モザイク変異が判明した。現在ソタロール 6mg/kg/dayで頻拍発作なく経過している。
【考察】PROSはほとんどが体細胞モザイクとされ臨床所見は幅広く、従来別に分類されていた症候群を複数含んでいる。このうち巨脳症-毛細血管奇形(MCAP)症候群では、先天性心疾患、上室頻拍、不整脈による突然死の報告がある。病的バリアントを有する組織ではPI3K-AKT-mTOR経路が亢進し過成長を来たすが、心臓においては、心筋細胞の生存を促進、抗酸化、抗炎症作用を持つ。一方、過剰な活性化は心筋の肥大・線維化に加え、イオンチャネル発現やCa動態を介して興奮性に影響し得るとの基礎知見がある。本症例では、PIK3CAモザイク変異に伴う心房筋局所のリモデリングが異所性心房頻拍につながった可能性が考えられた。
【結語】PROSで異所性心房頻拍を合併した一例を経験した。体細胞モザイクによる病態は不明な点が多く、さらなる症例の蓄積が望まれる。