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[I-P06-05]フィブリン糊器質化に伴うePTFEグラフト外側線維からの硬化を呈したファロー四徴症術後遠隔期の一例

杉本 愛1, 坂上 倫久2, 倉田 美恵3, 泉谷 裕則2, 太田 教隆4, 渡邉 マヤ1, 星名 雄太1, 白石 修一1 (1.新潟大学大学院 医歯学総合研究科 呼吸循環外科, 2.愛媛大学大学院 医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科学, 3.愛媛大学大学院 医学系研究科 解析病理学, 4.静岡県立こども病院 心臓血管外科)
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Keywords:

ePTFEグラフト,フィブリン糊,線維性硬化

【背景】ePTFEグラフトは耐久性と生体適合性から先天性心疾患手術で広く使用され、内腔側からの血栓、石灰化などから狭窄が生じ得ることも知られている。しかしグラフト外側線維から生じた硬化による狭窄は稀でありその機序は十分には解明されていない。
【症例】症例は乳児期にTOF修復術を、20歳時に手作り三尖弁付きePTFE(20 mm)グラフトにて右室流出路再建術を施行された女性。右室流出路再建術時、吻合部出血に対して多量のフィブリンを使用、術後5日目に再開胸止血術を要した。10年後、流出路グラフト前面狭窄進行により再手術を予定し、術前CTでグラフト局所の石灰化が疑われた。術中、グラフトは著明に硬化し非常に剥離困難であった。新たな3弁付きePTFEグラフトへ置換した。
【病理所見】摘出グラフトの病理組織解析では、CTで石灰化が疑われた部位の大部分は真の石灰化ではなく、外膜側に広がる高密度の線維組織で構成され、また、極めて細胞成分に乏しく、フィブリン主体のグラフト硬化であると考えられた。グラフト硬化はグラフト全体の外膜側に及んでいた。CD68陰性・ビメンチン陽性より、炎症細胞浸潤よりも間葉系由来線維化が主体と考えられた。また、一部では縫合糸周囲に限局した石灰化がみられた。
【考察】本症例のグラフト硬化は、内腔側変化ではなかった。病理組織結果では、術後血腫を主な由来と考えるには、極めて細胞成分に乏しいフィブリンが主体の硬化であり、周囲組織反応およびフィブリン糊の器質化に起因する外側からの変化が主因と考えられた。ePTFEはグラフト壁の損傷などから血漿成分の浸出を生じ、周囲に線維性反応を誘発することが知られている。さらに大量のフィブリン糊使用が線維化を助長した可能性が高いと考えられた。
【結語】フィブリン糊の過量使用は長期的に塊の形成によりePTFEグラフトの外側線維の硬化を来し、グラフト狭窄の原因となりうる可能性がある。