Presentation Information
[I-P14-03]新生児期に心筋肥大とPPHNを呈したが改善したMYBPC3遺伝子変異による肥大型心筋症の1例
○秋山 蒼1, 上野 薫1, 宮里 茉樹1, 野々原 洋輔1, 堀 創馬1, 久米 英太朗1, 佐藤 一寿1, 廣野 恵一2, 鶴見 文俊1 (1.田附興風会 医学研究所 北野病院, 2.富山大学附属病院 小児科)
Keywords:
肥大型心筋症,MYBPC3遺伝子変異,新生児心筋症
【背景】肥大型心筋症(HCM)の約半数に遺伝性が認められ、その主因はサルコメア関連遺伝子変異とされている。MYBPC3遺伝子変異は代表的原因で、浸透率が低く発症は遅発型が多いとされる。今回、新生児期に一過性に心筋肥大を認め、のちにMYBPC3遺伝子変異と診断された症例を経験したので報告する。【症例】在胎38週5日、出生体重2995gで出生。生後3時間に徐脈とSpO2 93%(FiO2 0.25)の酸素化低下を認め搬送となった。心エコー検査で右室壁・心室中隔の著明な肥厚(IVSd/PWd=1.6)と肺高血圧所見を認めHCM及び新生児遷延性肺高血圧症と診断した。動脈管は狭小化していたが未閉鎖で、他に構造異常を認めず、心電図検査ではV1-2で-0.25mVのST低下を認めた。酸素療法にて加療、肺高血圧改善に合わせて漸減し日齢10で酸素終了、日齢17で退院した。その後心筋壁肥大は改善傾向を示し、生後1か月時でIVSd/PWd=1.25、生後4か月時には認めなくなった。二次性の所見なく、入院中提出の遺伝子検査によりMYBPC3遺伝子ヘテロ接合体ミスセンス変異が同定された。【考察】MYBPC3変異の30歳以前の浸透率は41%と報告されている。本症例は新生児期から心筋壁肥厚を呈したが、その後所見は消失した。胎児期から新生児期にかけて何らかの右室後負荷増大に対して、本児のサルコメア関連遺伝子異常を背景に一過性の心室壁肥厚を来した可能性が考えられた。late-onset型とされるMYBPC3遺伝子変異によるHCMの中にも周産期新生児期に一時的な心筋肥大を呈する症例が存在する可能性が示唆された。また、新生児期に心筋肥大を呈しその後改善する症例の中にも、同様の遺伝子素因を有する例が含まれている可能性があると考えられた。【結論】新生児期に一過性の心筋肥大を呈する症例の中にも、late-onset型HCMの遺伝子素因を有する例が含まれている可能性があり、長期的な経過観察および必要に応じた遺伝学的評価が重要と考えられた。
