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[I-P15-03]トロポニンIが著増した筋ジストロフィー児の軽症ウイルス性心筋炎の一例

松下 賢, 高尾 浩之, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター 小児科)
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Keywords:

心筋炎,心臓MRI,トロポニン

【背景】筋ジストロフィーを背景とする心筋炎の報告は複数あるが、肢体型筋ジストロフィーを背景とする心筋炎の報告例は見当たらない。肢体型筋ジストロフィーの児でトロポニンIが著増したものの軽症で推移した心筋炎を経験したので報告する。【症例】8歳男児。生後1歳6か月で独歩を開始した。4歳時にCK高値を契機に前医で精査され、遺伝子検査結果を踏まえて肢体型筋ジストロフィーが疑われていた。来院当日、頭痛と胸痛を自覚し、当院に救急搬送された。来院時のバイタルサインは、体温 36.7 ℃、心拍数98/分、血圧110/66 mmHg、SpO2 99%であった。心雑音は聴取せず、心電図では前胸部誘導に広範なST上昇を認めた。血液検査でトロポニンIは25,150 pg/mLと著明高値であった。呼吸器FilmArray検査でコロナウイルスNL63が陽性であった。心臓MRIではT1遅延造影で左室自由壁に造影効果を認め、T2強調画像で高信号を呈し、急性心筋炎と診断した。免疫グロブリン静注療法を施行した。入院3日目には自覚症状は消失し、心筋逸脱酵素は低下傾向を示した。経過中、カテコラミンを含め循環サポートは要さず、第10病日に退院した。退院3か月後で心機能低下を認めていない。【考察】本症例は肢体型筋ジストロフィーの心筋炎として、検索した限り初の報告である。心筋炎の診断は臨床所見およびMRIを含む画像所見に基づいた。心原性ショックや心室不整脈を伴わない症例における心筋生検の推奨はClass IIbにとどまり、本例では心筋生検を施行しなかった。トロポニンIが著明高値を示しても心筋炎が重症とは限らないことは既報と一致した。Duchenne型筋ジストロフィーでは心筋炎の罹患が遠隔期の心予後悪化因子であることを示唆する報告があり、本症例でも注意深い外来フォローを行っていく。