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[I-P16-06]てんかん発症前に心筋緻密化障害による心不全症状が先行したITPA遺伝子異常症の男児例
○土井 大人1,2, 熊本 崇1 (1.佐賀大学 医学部 附属病院 小児科, 2.国立病院機構 佐賀病院 小児科)
Keywords:
ITPA遺伝子異常症,心筋緻密化障害,遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん
【緒言】イノシン三リン酸ピロホスファターゼ(ITPase)はイノシン三リン酸(ITP)をイノシン一リン酸(IMP)へ分解するプリン代謝酵素である。ITPaseをコードするITPA遺伝子異常症は発達性てんかん性脳症の一病型として知られ、難治性てんかん、小頭症、心筋症を特徴とする常染色体潜性遺伝疾患で、これまでに約40例が報告されている。【症例】在胎39週4日、体重3268g、仮死なく出生。1か月健診で体重増加不良あり、啼泣は弱々しく、心音減弱と四肢冷感を認め、紹介受診した。BNP 1766.2pg/mLと高値。心臓超音波検査で左室拡張末期径正常比133%、左室収縮率28.4%、著しい肉柱形成と深い間隙を認め、非緻密化層/緻密層比5.5、間隙への血流流入を認め、心筋緻密化障害と診断した。抗心不全治療によりBNP 11.2pg/mLまで低下し、体重増加良好となり、生後2か月で退院した。追視や定頸がなく、生後5か月時に眼球偏位を伴う無熱性けいれんを発症し、発作様式・脳波所見・臨床経過から遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんと診断した。頭部MRI検査では、髄鞘化遅延や両側内包後脚・視放線の異常信号など特徴的な所見があり、IRUD-PでITPA遺伝子に複合ヘテロ接合病的変異を認め、ITPA遺伝子異常症の診断に至った。【考察】ITPA遺伝子異常症は、ITP蓄積による神経細胞毒性やアポトーシスを介し、DNA損傷などのゲノム不安定性が生じる。また、ITPがATPと構造類似性を持つことからATP利用障害が起こり、心筋収縮・拡張障害や心筋構造の破綻を惹起することがITPA欠損マウスで証明されている。40症例のまとめでは、心合併症を28.6%に認め、拡張型心筋症が最多であり、予後不良因子とされる。【結語】てんかん発症に先行して心筋緻密化障害による心不全症状を呈した稀少な一例である。心合併症は予後不良因子であり、てんかん性脳症・難治性てんかん症例には心機能評価が望まれる。
