Presentation Information
[I-P16-10]エベロリムス投与により心臓腫瘍は縮小したが、心不全改善に至らなかった結節性硬化症の一例
○大島 誠矢1, 大軒 健彦1, 佐藤 大二郎1, 鈴木 大1, 川合 英一郎1, 新田 恩1, 田邊 雄大2, 小野 頼母2, 小泉 沢2, 小澤 晃1 (1.宮城県立こども病院 循環器科, 2.宮城県立こども病院 集中治療科)
Keywords:
結節性硬化症,心横紋筋腫,エベロリムス
【背景】結節性硬化症は、TSC1/TSC2遺伝子変異による mTOR シグナル経路の異常活性化を背景に多臓器過誤腫を来す常染色体顕性遺伝性疾患である。胎児期から乳児期にかけて半数以上で心横紋筋腫を認めるが、腫瘍による心不全で治療介入が必要となることは稀である。近年、mTOR阻害薬であるエベロリムスの有効性が報告されている。
【症例】在胎26週に胎児心臓腫瘍による心不全が懸念され当院紹介となった。心臓腫瘍は計6個あり、左室乳頭筋の腫瘍は26×15mmと巨大で、高度の僧帽弁逆流を認めた。腫瘍による両心室の流入路、流出路狭窄は認めなかった。胎児MRIで脳皮質結節を認め、結節性硬化症と診断された。在胎35週より胎児循環不全徴候を認めたため、母体にシロリムスが投与されたが腫瘍径の縮小は得られず、在胎39週6日、2877gで自然分娩で出生した。両心室の収縮不良があり、腫瘍による影響を考慮し、日齢0よりエベロリムスを開始した。腫瘍は急速に縮小したが、心臓超音波検査では拡張型心筋症様の著明な左室拡大および収縮不良は残存した。エベロリムス血中濃度の異常高値のため一時休薬後に減量再開したが、肝逸脱酵素上昇のため中止した。現在、慢性心不全管理を継続している。
【考察】結節性硬化症患者の半数以上で心横紋筋腫を認めるが、心不全に至る症例は全体の2-5%と稀である。心横紋筋腫は出生後に自然退縮することも多く、支持療法が基本とされる一方、重篤な心不全を呈する症例ではmTOR阻害薬の使用が検討されてきた。しかし本症例のように、腫瘍縮小と心不全の改善が必ずしも相関しない症例や、二次性心筋症として拡張型心筋症様の所見を呈する症例も報告されている。腫瘍縮小のみを治療目標とせず、心機能や副作用を踏まえた包括的な治療戦略の検討が重要である。
【症例】在胎26週に胎児心臓腫瘍による心不全が懸念され当院紹介となった。心臓腫瘍は計6個あり、左室乳頭筋の腫瘍は26×15mmと巨大で、高度の僧帽弁逆流を認めた。腫瘍による両心室の流入路、流出路狭窄は認めなかった。胎児MRIで脳皮質結節を認め、結節性硬化症と診断された。在胎35週より胎児循環不全徴候を認めたため、母体にシロリムスが投与されたが腫瘍径の縮小は得られず、在胎39週6日、2877gで自然分娩で出生した。両心室の収縮不良があり、腫瘍による影響を考慮し、日齢0よりエベロリムスを開始した。腫瘍は急速に縮小したが、心臓超音波検査では拡張型心筋症様の著明な左室拡大および収縮不良は残存した。エベロリムス血中濃度の異常高値のため一時休薬後に減量再開したが、肝逸脱酵素上昇のため中止した。現在、慢性心不全管理を継続している。
【考察】結節性硬化症患者の半数以上で心横紋筋腫を認めるが、心不全に至る症例は全体の2-5%と稀である。心横紋筋腫は出生後に自然退縮することも多く、支持療法が基本とされる一方、重篤な心不全を呈する症例ではmTOR阻害薬の使用が検討されてきた。しかし本症例のように、腫瘍縮小と心不全の改善が必ずしも相関しない症例や、二次性心筋症として拡張型心筋症様の所見を呈する症例も報告されている。腫瘍縮小のみを治療目標とせず、心機能や副作用を踏まえた包括的な治療戦略の検討が重要である。
