Presentation Information
[I-PD5-6]インフリキシマブによる抗サイトカイン療法の実際
○山村 健一郎 (九州大学病院 小児科)
Keywords:
川崎病,インフリキシマブ,TNF-α
抗ヒトTNF-α抗体であるインフリキシマブ(IFX)は、特異的なサイトカイン抑制により血管炎を鎮静化させる有用な治療薬である。近年、川崎病治療における本剤の位置づけは大きく変化している。かつてはIVIG 2回投与後の3rd lineとしての使用が主流であったが、KIDCARE試験等の結果を受け、現在ではIVIG初回不応例に対する有力な2nd lineとしても推奨されるようになった。2nd IVIGと比較して、速やかな解熱(投与後平均約16時間)や入院期間の短縮といった利点があり、体格の大きい患者では医療経済的にも優れる。ただし、同試験において遠隔期の冠動脈瘤(CAA)合併率には有意差が認められておらず、他の追加治療との使い分けは、患者背景に応じた個別化が必要である。一方で、血中濃度モニタリングが不要で迅速に導入できる点はIFXの大きな強みである。2024年のAHAガイドラインでは、診断時にすでにCAAを有する超高リスク例に対し、初回治療からのIVIGとIFXの併用療法(Primary intensification)の有用性が示された。日本では5mg/kg単回投与が原則だが、海外では薬物動態の観点から10mg/kgがより有効とする報告もあり、治療戦略は進化を続けている。安全面では、投与前の結核・肝炎スクリーニングやinfusion reactionへの警戒が必須である。さらに、IFXの長い半減期を考慮したBCG等生ワクチン接種の延期や、1歳未満の乳児に対する慎重投与など、わが国特有の留意事項も存在する。特に乳児例では、過密な定期接種スケジュールとの間隔調整が実践的な課題となる。本講演では、最新エビデンスと実臨床の知見を交え、急性期川崎病における抗サイトカイン療法の「現在地」と「今後の展望」についてお話したい。
