Presentation Information

[I-SY2-1]先天性心疾患ステント治療は外科再建をどう変えてきたか,そしてどう変えるか

金 成海 (静岡県立こども病院 循環器科)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

ステント,外科再建,体格的成長

先天性心疾患に対するステント治療は,肺動脈,大動脈,動脈管,体肺動脈短絡,右室流出路,肺静脈など幅広い病変に用いられ,国内外のガイドラインにおいても高い推奨クラスに位置づけられている.ステントは長期植込みと再拡張を前提に血管内腔を維持する治療概念を基本とするが,実臨床では患者の成長,病変部位,デバイス特性に応じて,外科再建への橋渡しとしても重要な役割を果たしてきた.
JCICレジストリー年次報告では,2016–2022年の7年間でステント留置は計997セッション実施され,手技成功率96.4%,合併症・有害事象112件(11.2%),重篤有害事象36件(3.6%),カテーテル治療関連死亡9件(0.9%)と報告されている.ステント治療は有効な選択肢である一方,比較的難易度の高い技術であり,施設・術者認定,症例集約化を含む制度設計が重要と考えられる.また,質と信頼性の高い全国リアルワールドデータと継続的フィードバックは,適正使用と安全性向上を支える基盤となる.
当院における最大拡張可能径8mm未満の小口径ステント109例144件184本の経験では,早産・極低出生体重児を含む低年齢・低体重例を中心に,多様な病変に使用されていた.体肺動脈短絡,動脈管開存,右室流出路領域では,「ステント除去」,離断,結紮などの「ステント処理」を経て,多くが次段階手術または根治的修復へ到達した.一方,難治性とされる肺静脈領域では,留置方法の工夫により,外科介入を要さず長期留置維持される症例も認めている.
本講演では,ステント治療を,長期植込み,橋渡し,外科再建,次世代デバイスという時間軸をもとに体系的に呈示する.ステントは外科再建を妨げるものではなく,適切に組み込むことで治療選択肢を広げ,外科単独では打開困難な病態を改善し,より良い再建条件を整える手段となり得る.さらに,成長に追従しうるステントの開発と国内導入を進めるための課題についても議論したい.