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[I-SY3-5]NT-pro BNP/BNP比に基づくアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)による治療抵抗性心不全の管理
○工藤 諒1, 松尾 悠1, 西村 和佳乃1, 齋藤 寛治1, 滝沢 友里恵1, 佐藤 啓1, 中野 智1, 齋木 宏文1, 小山 耕太郎2 (1.岩手医科大学附属病院, 2.みちのく療育メディカルセンター)
Keywords:
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬,BNP,心不全
背景:ARNIは心不全が相対的ナトリウム利尿ペプチド(NP)不足の病態を内包することに着目した心不全治療薬である.効果判定にはNT-pro BNPが推奨されているが,腎機能が不安定な小児例では判定が困難なことも多い. NT-pro BNPとBNPは前駆体pro BNPから等モルずつ分泌されるが,一般にNT-pro BNPはBNPよりも高値を示す. すべてNPは共通の代謝経路を持つため,NT-pro BNPとBNPの差は各個体のNP代謝速度を反映すると考えられる. NP代謝遅延が誘導された時点,つまりLn (NT pro BNP)-Ln(BNP)= Ln(NT pro BNP/BNP)(以下NT比)低下時の臨床的効果からARNIの有効例を判定できるという仮説を検証した.対象と方法:定期心臓カテーテル検査時にNT-pro BNPとBNPを同時測定した非心不全連続135例を対象に,年齢とNT比の関連を解析した. 次に従来の抗心不全療法で効果が得られずARNI導入に至った症例のNT比の推移と臨床的変化を解析した。結果:NT比と年齢は強い負相関を示した.心不全治療薬不応であった5例のARNI導入前NT比は年齢標準値よりも顕著に高値を示した. 3例においてARNI導入・漸増に伴い急速にNT比が標準値を下回り(NT-pro BNP/BNP比10.0→4.6, NT比 2.3→1.5),心不全症状改善を認めた.NT比は心不全症状に呼応し,増悪時に上昇し,ARNI漸増はこれを低下させた. NT比低下時に臨床的改善を認めなかった症例ではARNI漸増により腎機能障害が表面化し,使用を断念・減量を余儀なくされた.結論:非心不全小児のNT比は著しい高値を示し,年齢と共に低下した.心不全時にNT比は年齢標準に比し顕著に上昇し,ARNI導入によりNT比は顕著に低下したこと,心不全増悪時にはNT比が再上昇したことから,NT比が鋭敏に相対的NP不足を反映しARNIが病態改善に寄与することが示唆された.盲目的なARNI導入・漸増は本来の薬効評価を困難にする可能性があり,NT比を参考とすることで効率良い導入が可能となる.
