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[II-JMSF-3]心臓流出路を構成する細胞系譜間の協調的な発生を支える足場タンパク質DLG1のはたらき

向後 晶子, 向後 寛, 山本 華子, 松崎 利行 (群馬大学)
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Keywords:

心臓神経堤,二次心臓領域,心臓流出路

心臓流出路(OFT)の中隔形成には、心臓神経堤細胞(NC)と二次心臓領域(SHF)由来細胞の精緻な協調が必須である。細胞質足場タンパク質DLG1の全身欠損(KO)マウスは、高頻度で心室中隔欠損(VSD)や総動脈管遺残(PTA)等の重篤なOFT異常を呈するが、その細胞系譜特異的な役割は未解明であった。
そこで、細胞系譜特異的な2種類のCreドライバー、 Wnt1-Cre(NC)および Mef2c-AHF-Cre(SHF)を用いた系統特異的Dlg1コンディショナルKO(cKO)マウスを用いて、流出路発生におけるDLG1の機能を検証した。
その結果、NC特異的Dlg1 cKOマウスでは、OFTクッション内NCの分布異常が観察され、低頻度にVSDを発症した。また、対照群のE18.5胎仔では、約40%の個体で大動脈弁基部にCNC由来の軟骨様細胞塊が出現するのに対し、NC特異的cKOマウスではこの出現率が100%であったことから、DLG1は、神経堤細胞の軟骨様分化を抑制することが示された。 他方のSHF特異的Dlg1 cKOマウスでは、半月弁の肥厚傾向が認められたが、発育はおおむね正常であった。これらに対し、NCとSHFの両系譜で Dlg1 を同時欠損させたダブルKOマウスでは、全身KOに近い高頻度でVSDやPTAが再現された。また興味深いことに、これらのマウスでは、VSDの発症と上述の軟骨様細胞の出現は相反する関係にあった。
以上の結果より、足場タンパク質DLG1が、CNCとSHFの両系譜において相補的に機能することで流出路形成の頑健性を支えていることが明らかになった。この知見は、DLG1が系譜間の相互作用を介して正常な流出路発生を担保するプラットフォームであることを示唆している。また、DLG1はCNCの「空間配置」と「細胞分化」という異なる細胞イベントを制御することも示された。DLG1が備える多彩なパートナー分子との相互作用能が、このような多面的な機能の分子基盤となっている可能性が考えられる。