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[II-JSCDJS-OR-5]BMP9遺伝子欠損は低酸素誘発性内皮細胞増殖を抑制し肺高血圧症進行を軽減する

櫻井 牧人1, 山口 洋平1, 細川 奨2, 石井 卓1 (1.東京科学大学 発生発達病態学分野, 2.武蔵野赤十字病院 小児科)
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Keywords:

肺高血圧症,BMP9,内皮細胞増殖

【背景】BMP9はBMPR2/ALK1複合体の主要リガンドであり、肺動脈性肺高血圧症 (PAH) の原因遺伝子の一つとして知られる。従来、BMP9はPAHに対して内皮恒常性を支える保護的因子と考えられてきた。一方で、BMP9阻害あるいは遺伝子欠損により動物モデルで肺高血圧の進展が抑制される事が報告されており、BMP9のPAHの病態進展における機能的意義は未解明である。【目的】低酸素誘発性肺高血圧動物モデルを用い、内因性BMP9欠損が病態形成に与える影響と分子機序を明らかにすること。【方法】野生型(WT)およびBmp9ノックアウト(KO)マウスを低酸素環境(10% O2 )で3週間飼育し肺高血圧を誘導した。心臓カテーテルによる血行動態評価、抽出肺組織の組織学的解析およびSingle-cell RNA sequencing(scRNA-seq)を行い、細胞構成比、遺伝子発現、シグナル伝達などを解析した。【結果】Bmp9KO群では右室収縮期圧 (KO : 31mmHg vs WT: 37mmHg, p<0.01)、Fulton Index (KO : 0.27 vs WT : 0.37, p<0.01)、肺小動脈の筋性化がいずれも有意に抑制された。scRNA-seqでは、低酸素暴露で増加する内皮細胞増殖がKO群で抑制され、パスウェイ解析では、KO群においてPI3K-Akt経路、focal adhesionなど増殖・接着関連シグナルの抑制を認めた。遺伝子発現解析では増殖関連遺伝子(Cdk19, Ntrk2等)の発現がKO群において減弱していた。【結論】慢性低酸素環境下においては、内因性BMP9が内皮細胞の異常増殖を促進し、肺高血圧症の病態進展に寄与していることを示した。Bmp9欠損ではこの内皮細胞状態が抑制され、肺高血圧が軽減された。これらの結果は、BMP9が特定の病態条件下では肺高血圧を進展させる方向に働くことを示し、BMP経路が治療標的となり得る可能性を示唆する。