Presentation Information
[II-JSCDJS-OR-6]Hox遺伝子発現維持/消失に伴う神経堤細胞の心臓咽頭領域形成
○岩瀬 晃康1,2, 来田 真友子2, 原田 恭弘3, 川村 晃久3, 中川 修3,4, 鈴木 穣5, 和田 洋一郎1, 栗原 由紀子2,6, 宮川 - 富田 幸子2,7, 栗原 裕基1,2,8 (1.東京大学 アイソトープ総合センター, 2.東京大学 大学院 医学系研究科 代謝生理化学分野, 3.立命館大学 生命科学部 生命医科学科, 4.国立循環器病研究センター 病態ゲノム, 5.東京大学 新領域 メディカル情報生命, 6.女子栄養大学 代謝生理化学, 7.帝京平成大学 健康メディカル学部 医療スポーツ学科動物医療コース, 8.熊本大学 国際先端医学研究機構)
Keywords:
心臓神経堤細胞,scMultiome (RNA+ATAC),Visium/Xenium
【背景】神経堤細胞は、胎生初期の神経外胚葉に由来する遊走性を持つ細胞集団で、骨芽細胞、軟骨芽細胞、平滑筋、神経系細胞、色素細胞などに分化する多能性幹細胞である。神経堤細胞は頭尾軸に沿ったHox遺伝子による位置コードがなされ、大血管の中膜平滑筋や大動脈肺動脈中隔、近位冠動脈平滑筋や半月弁などに寄与する。他方で、そもそも神経堤細胞が心臓咽頭領域を遊走する中で構成領域に従ってどのように変化し得るのかと言った分化運命制御機構は明らかではない。【目的】そこで、本研究では神経堤細胞の分化運命制御について領域性と共に明らかにすることを目的とした。【方法】神経堤細胞を標識するWnt1-Cre; R26-EYFPマウスを用いて、胚発生に伴う心臓咽頭領域の神経堤由来細胞からシングルセルマルチオミクス(RNA+ATAC-seq)及びVisium、Xenium空間遺伝子発現データを解析し、中心的な転写因子による系譜追跡実験やエンハンサー活性検証実験を行った。【結果】シングルセルマルチーム解析から神経堤細胞の分化状態を特徴付ける遺伝子発現プロファイルが明らかとなり、特に咽頭領域、大血管/動脈管平滑筋、大動脈肺動脈中隔ではHoxコードが維持される一方で、心臓内に侵入した神経堤細胞ではHox遺伝子発現を失うことが明らかになった。これはHox遺伝子のスーパーエンハンサーのクロマチン動態と関連することが示された。さらに遺伝子制御ネットワークを解析することで、咽頭と心臓はOsr1, Sox9の2つの転写因子によって発現領域が分けられ、そのエンハンサー様領域はMeis転写因子とHox遺伝子との関連が示唆された。【考察】神経堤細胞の遺伝子発現状態は寄与領域と対応し、Hox遺伝子の発現維持・消失と関連した転写因子結合モチーフの変化が考えられる。【結論】神経堤細胞の分化系譜は空間的領域性と共にクロマチン動態の変化を伴いながら分化運命が決定される。
