Presentation Information
[II-OR16-04]超音波エラストグラフィを用いたFontan術前から術後早期の肝うっ血推移
○白水 優光1, 倉岡 彩子1, 山村 健一郎3, 川口 直樹2, 佐藤 正規1, 連 翔太1, 鈴木 彩代1, 郷 清貴1, 永田 弾2, 佐川 浩一1 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 循環器集中治療科, 3.九州大学病院 小児科)
Keywords:
FALD,エラストグラフィ,腹部エコー
【背景】Fontan関連肝疾患(Fontan-associated liver disease:FALD)は、肝硬変や肝細胞癌へ進展し得る予後規定因子である。FALDの発症にはFontan手術(F術)に伴う静脈圧上昇や慢性的な肝うっ血が関与すると考えられているが、うっ血と線維化の鑑別は困難であり、特にF術後早期に焦点を当てた検討は限られている。【目的】F術前及び術後早期の剪断波エラストグラフィ(SWE)と血行動態との関連を検討する。【方法】2023年から2025年に当院にてF術前と術後半年に定期心臓カテーテル検査を行った症例を対象とした。カテーテル検査終了時にPhilips社EPIQ Eliteを用いて肝SWEを測定した。同時に測定した血行動態指標(中心静脈圧:CVP、肺血管抵抗:PVRなど)、心臓MRI所見、血液生化学検査との関連を解析した。【結果】対象は15例(男児9例)、F術時年齢中央値3.4歳(2.8-3.7)、体重11.4kg(10.3-12.8)、右心系単心室12例(80%)、内臓錯位症候群6例(右側相同6例)。F術は全例心外導管18mmを使用され、開窓例はなかった。SWEはF術前5.2kPa(4.8-5.6)から術後13.7kPa(13.2-15.3)と有意に上昇した(p<0.01)。術後心臓カテーテル検査ではCVP 9mmHg(9-11)、PVR 2.4 Wood単位(2.2-2.5)であった。術後SWEはF時CVPと正の相関があり(r=0.55, p=0.04)、F術前後のCVP変化が大きいほどSWEが上昇する傾向が見られた(r=0.53, p=0.04)。一方、F術前のIVC圧とF術前SWEに相関はなかった。γGTPはF術前後で有意に上昇したが(p<0.01)、SWE変化との相関はなかった。その他の血行動態や肝線維化マーカーとの相関はなかった。なお、腹部超音波で腫瘤性病変を認める例はなかった。【結論】F術後早期のSWE上昇はF術前後のCVP負荷を反映した肝うっ血の影響が大きい可能性が示唆された。SWEやγGTPの周術期変化が他の指標より早期に出現し、FALD進展の早期リスク層別化に有用である可能性がある。
