Presentation Information
[II-P19-09]肺高血圧症治療中に甲状腺機能異常を発症し管理に難渋した一例
○中村 甫, 河島 裕樹, 矢野 瑞貴, 西木 拓己, 小澤 由衣, 大森 紹玄, 田中 裕之, 白神 一博, 益田 瞳, 犬塚 亮 (東京大学医学部附属病院)
Keywords:
肺高血圧症,甲状腺機能亢進症,エポプロステロール
プロスタサイクリン製剤(PGI2製剤)は肺血管拡張作用を有し、難治性の肺高血圧症(PAH)に対して使用される。我々はPGI2製剤使用中に甲状腺機能異常を発症し甲状腺全摘を行った症例を経験したため報告する。症例は14歳女児。既往歴なく、肺高血圧症の家族歴もなかった。5歳時に運動時意識消失を契機にBMPR2変異陽性、mPAP 70 mmHg、Rp 18.0 UW・m2でPAHと診断された。ERA、PDE5阻害薬開始し、2年後にmPAP 35 mmHg、Rp 5.9 UW・m2まで低下したがその後増悪し9歳時からIP受容体作動薬を開始した。複数回の怠薬がありmPAP 88 mmHg、Rp 38.5 UW・m2まで上昇、再度失神を伴うようになり12歳よりPGI2製剤の20 ng/kg/min持続静注に変更した。67ng/kg/min使用中の評価でmPAP 65 mmHg、Rp 10.0 UW・m2と依然高値のため110 ng/kg/minまで漸増した。13歳8ヶ月より甲状腺腫大を自覚、9ヶ月にTSH感度未満、FT4 14.5 ng/dL、FT3 15.5 pg/dLと異常高値、TRAb陽性のためBasedow病と診断した。呼吸苦とエコーで右室圧上昇、右心不全の増悪あり入院の上DOBを導入した。PAH治療のためPGI2製剤を減量できず、抗甲状腺薬を導入した。甲状腺機能は改善傾向であったが怠薬で再増悪した。ステロイドを併用し甲状腺機能は改善、DOBを漸減終了し退院したが再度怠薬で甲状腺機能異常が増悪した。内服管理困難と判断し甲状腺全摘術を行った。PGI2製剤使用中の甲状腺機能異常報告は過去にもある。薬剤量の記載があるものは37.2±26.5 ng/kg/minであり、過去の報告ではいずれも抗甲状腺薬導入で甲状腺機能は正常化していた。本症例はPGI2持続静注中の甲状腺機能異常を認めた点は過去の報告と同様であるが、怠薬により肺高血圧の増悪を繰り返し高用量のPGI2製剤を要した点や、怠薬契機に甲状腺機能が増悪し切除に至った点は特筆すべきである。PGI2投与量との関係は不明であるが、PGI2の重要な合併症として甲状腺機能異常があることの認識が必要である。
