Presentation Information

[II-PD9-5]Fontan循環における中心静脈圧と循環血漿量の関係 - Fontan循環における肺血管拡張薬の役割-

齋木 宏文1, 松尾 悠1, 工藤 諒1, 西村 和佳乃1, 齋藤 寛治1, 滝沢 友里恵1, 佐藤 啓1, 桑田 聖子1, 中野 智1, 小泉 淳一2 (1.岩手医科大学 小児科学講座 小児循環器分野, 2.岩手医科大学 心臓血管外科)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

フォンタン,心血管機能,肺血管拡張薬

【背景】中心静脈圧(CVP)はFontan循環を表現する指標の一つであるが, 負荷により乱高下し絶対値での評価が時に困難である. 近年Fontan症例は高いCVPにも関わらず下大静脈が細く, また硬いことが報告されている. 硬い中心静脈に対し効率よく静脈還流させるには脈管系硬化による圧伝搬効率化が不可欠である. 脈管系容積のsurrogate markerである循環血漿量(PV)がFontan循環において減少している, という仮説を検証し, 肺高血圧(PH)治療薬がFontan循環の脈管系容積に与える影響を解析した.【対象と方法】定期心臓カテーテル検査時に実測した16歳未満のFontan73例 (8.7±4.1歳)のPVを非Fontan76例 (8.1±4.7歳)と比較した. またFontan症例においてPVとCVPの関係, PH治療薬の影響を解析した。【結果】Fontan症例は非Fontan症例と比較し体格, 体循環血圧に差はなかったがCVP (12.7±1.9, 7.4±2.4 mmHg, p<0.001)は高く, 一方でPV (75.8±28.5, 94.7±42.3 ml/kg, p=0.0022)は顕著に少なく, 従って小さく硬い脈管を特徴とする循環が確認された. Fontan症例においてCVPとPVの関係性は極めて弱く(p=0.15), Fontan循環不全を呈した4例はいずれもCVP (12.0±1.2mmHg)に比してPVの少ない症例 (60.0±5.8ml/kg)であった. 蛋白漏出性胃腸症1例を含む高肺血管抵抗 の5例 (肺動脈圧 14-18 mmHg)において, PH治療薬はCVPを横ばいまたは低下させた一方, 全例でPVを増加させた.【結論】Fontan循環における高CVPは, 心不全に特徴的なPV増加を伴う高CVPと病態が異なる. Fontan循環はPV減少を伴う, 小さく硬い脈管系を形成する循環適応により肺循環を維持して成立し, このことは容量負荷や運動に伴う中心静脈圧の乱高下をよく説明する. 脈管系容積の可塑性が保たれたFontan症例では肺高血圧治療薬は循環適応を緩和し末梢臓器保護に寄与しうる一方, 可塑性が損なわれればPH治療薬や術後遠隔期の末梢血管拡張に適応できない可能性がある.