Presentation Information
[II-SY6-3]先天性門脈体循環シャントにおける網羅的全エクソーム解析:繊毛関連遺伝子変異の集積
○松岡 良平1,2, 鵜池 清1, 永田 弾1, 寺師 英子1, 長友 雄作1, 平田 悠一郎1, 酒井 康成1, 山村 健一郎1, 大賀 正一1 (1.九州大学大学院 医学研究院 成長発達医学分野, 2.九州大学大学院 医学研究院 発生再生医学分野)
Keywords:
先天性門脈体循環シャント,全エクソーム解析,血管発生
【背景】先天性門脈体循環シャント(Congenital portosystemic shunt: CPSS)は、門脈血が肝臓での代謝を経ずに体循環へ直接流入する稀な血管奇形である。また、短絡そのものによる病態のみならず、中枢神経、心血管合併症など、全身にわたる症候群的特徴をもつ症例が少なくない。本研究では、このような複雑なCPSS表現型の背景にある遺伝的要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】九州大学病院におけるCPSS症例46例のうち、症候群的特徴を有する15例を対象に全エクソーム解析を行った。既知のCPSS関連遺伝子が確立されていないことから、フィルタリング後に残った、稀少で機能的に有害と予測される変異を候補とし、家系内解析および反復変異解析を行った。
【結果】対象15例のうち、中枢神経障害を60%、心血管異常を53%、顔貌異常を47%、低出生体重児を47%に認めた。複数症例に共通する単一遺伝子変異は認められなかったが、繊毛関連遺伝子変異が有意に集積していた。全体として、C2CD3、SFI1、PTPN11、RSPH1、DNAH11、DNAH1などの繊毛関連遺伝子に病的意義が示唆される変異を、87%(13/15)の症候群型CPSS症例に同定した。特に、End-to-side型では乳児期発症例が多く、一次繊毛関連遺伝子変異を有する傾向がみられた。一方、内臓錯位症候群を含む、その他のCPSS症例の一部では運動繊毛関連遺伝子変異が検出された。バイオインフォマティクス解析により、繊毛関連遺伝子同士、あるいは非繊毛関連遺伝子との組み合わせによるオリゴジェニックな遺伝的寄与が示唆された。さらに、公開データベースからは同定された繊毛関連遺伝子群はマウス胎仔の門脈発生期において発現していることがわかった。
【結語】CPSS患者における繊毛関連遺伝子変異の集積は、胎生期の静脈リモデリング異常を背景として、発生過程における門脈系と体循環系の分離不全に繊毛機能異常が関与することを示唆する
【方法】九州大学病院におけるCPSS症例46例のうち、症候群的特徴を有する15例を対象に全エクソーム解析を行った。既知のCPSS関連遺伝子が確立されていないことから、フィルタリング後に残った、稀少で機能的に有害と予測される変異を候補とし、家系内解析および反復変異解析を行った。
【結果】対象15例のうち、中枢神経障害を60%、心血管異常を53%、顔貌異常を47%、低出生体重児を47%に認めた。複数症例に共通する単一遺伝子変異は認められなかったが、繊毛関連遺伝子変異が有意に集積していた。全体として、C2CD3、SFI1、PTPN11、RSPH1、DNAH11、DNAH1などの繊毛関連遺伝子に病的意義が示唆される変異を、87%(13/15)の症候群型CPSS症例に同定した。特に、End-to-side型では乳児期発症例が多く、一次繊毛関連遺伝子変異を有する傾向がみられた。一方、内臓錯位症候群を含む、その他のCPSS症例の一部では運動繊毛関連遺伝子変異が検出された。バイオインフォマティクス解析により、繊毛関連遺伝子同士、あるいは非繊毛関連遺伝子との組み合わせによるオリゴジェニックな遺伝的寄与が示唆された。さらに、公開データベースからは同定された繊毛関連遺伝子群はマウス胎仔の門脈発生期において発現していることがわかった。
【結語】CPSS患者における繊毛関連遺伝子変異の集積は、胎生期の静脈リモデリング異常を背景として、発生過程における門脈系と体循環系の分離不全に繊毛機能異常が関与することを示唆する

