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[II-TPAL-1]先天性心疾患術後の経腸栄養は本当にNECを誘発するのか?―発症リスクと栄養負荷量の関連解析:マッチドケースコントロール研究
○中野 諭, 新津 健裕 (埼玉県立小児医療センター 小児救命救急センター)
Keywords:
壊死性腸炎,経腸栄養,術後管理
【背景】 先天性心疾患(CHD)術後管理において、腸管虚血への懸念から経腸栄養(EN)は慎重になりがちである。一方、不要な絶食は腸管粘膜萎縮等を招く懸念がある。術後壊死性腸炎(NEC)に対し、EN負荷が真にリスク因子となるのか、その最適な管理指針は確立されていない。【目的】 CHD術後患者におけるNEC発症と、EN開始時期および投与量の関連を明らかにする。【方法】 2022年1月~2024年9月に当院PICUへ入室したCHD術後患者を対象とした症例対照研究。腹部超音波所見(腸管気腫/門脈内ガス)等でNECと確定診断された31例をCase群とした。Control群は、同一コホート内から術式・月齢・PICU滞在期間をマッチさせ123例を抽出した。条件付きロジスティック回帰を用い、予測死亡率(PIM2)、術後最大血管作動薬量(VIS)、NEC既往等を調整した上で、1.術後24時間以内のEN開始、2. 1週間以内の基礎代謝(REE)到達、3.発症前(または対照日)3日間の平均EN量(対REE比)とNEC発症の関連を評価した。【結果】 全509例中、NEC発症は31例(6.1%)であった。全体の月齢/体重の中央値は3ヶ月/4.5kgであった。Case群はControl群に比しPIM2 (2.2 vs 1.9, p=0.01)や術後最大VIS (11.0 vs 9.0, p=0.048)が高く、より全身状態が不安定であった。多変量解析の結果、発症前3日間のEN量が多いことは、NEC発症との負の相関を認めた(調整OR 0.09, 95%CI 0.02-0.37)。また、24時間以内のEN開始(調整OR 0.29)、1週間以内のREE到達(調整OR 0.58)もリスク増加とは関連せず、むしろ低リスク傾向を示した。【考察/結論】 EN投与量がNEC発症の独立したリスク因子となる所見は認められず、ENが確立できている症例では発症リスクが低かった。全身状態不良に伴うEN制限(因果の逆転)の影響は否定できないが、循環動態が許容する範囲でのEN開始・増量は、NECを助長しない可能性が示唆された。今後は全身状態を加味した早期栄養確立を目指すプロトコルの構築が望まれる。
