Session Details
[PS4]会長企画シンポジウム4_精神科の基礎研究の魅力、再発見! ~臨床や患者様に繋がる熱い基礎研究とは~
Fri. Jun 20, 2025 8:30 AM - 10:30 AM JST
Fri. Jun 20, 2025 11:30 PM - 1:30 AM UTC
Fri. Jun 20, 2025 11:30 PM - 1:30 AM UTC
B会場(神戸国際会議場 3階 国際会議室)
司会:高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)、岩田 正明(鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野)
メインコーディネーター:高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)
サブコーディネーター:岩田 正明(鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野)
メインコーディネーター:高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)
サブコーディネーター:岩田 正明(鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野)
精神科疾患は、脳という最も複雑な臓器のネットワーク障害によって生じ、併せて身体疾患が脳機能に影響を与えるという、人間の全身のバランスの不調によって生じている。そのため、脳以外や脳の一部を扱う他医学領域と比べ、精神疾患に関する研究は格段に困難で進まない領域であると言えよう。精神疾患の治療は、統合失調症、気分症を中心に、基礎研究による病態解明を背景にした臨床研究が進み、多くの治療薬を中心とした治療法が生まれ、患者にある程度貢献をすることができるようになった。しかし、多くの精神疾患の病態解明は遅れており、治療薬がない精神疾患の方が明らかに多い。そして、現在の治療薬の大半は対症療法にすぎず、根治療法はほぼないのが現状である。最近、本邦の臨床医の育成と臨床研究を積極的に推進する方針も後押しし、精神科領域で基礎研究を志す若者が非常に少なくなってしまった。一方、諸外国は現在も脳科学を中心とした基礎研究に非常に大きい比重を置き、病態解明の為に多くの資金を投入し続けている。病態解明が進み、発症機序が広く知られる他医学領域では臨床研究に重点を置く方針は正しいかもしれないが、病態解明が遅れている精神科領域では、将来、日本の精神医学が世界に大きく後れを取ることになることが危惧される。基礎研究は臨床研究と比べ、直接患者に繋がるという印象が薄く、地道な作業の連続であることが多く、やりがいが見いだせないのかもしれない。しかし、基礎研究を志すことは、疾患の病態解明について学び、常に人間を科学的に観察する視点を持ち、患者について違う側面からアプローチすることが可能となる点で重要であり、生物学的基盤の均一性を保証しないというDSM診断の限界を補うこととなる。
本シンポジウムは、精神科医としての高い臨床力や経験を所持した上で、現在も、病態解明研究を積極的に推進している日本を代表する研究者の先生方に、臨床に繋げる基礎研究の魅力を熱く語っていただく。治療薬が存在する領域として統合失調症・気分症、治療薬が存在しないまたは乏しい領域として神経発達症・摂食障害をテーマとした。東京科学大学の塩飽先生は、統合失調症における新規神経自己抗体の発見と免疫療法の可能性、また統合失調症高リスク遺伝子改変動物を用いた研究成果について、鳥取大学の山梨先生には、うつ病の基礎研究から生まれた新しい治療法の開発研究について、藤田医科大学の牧之段先生には基礎研究から生まれた神経発達症の新しい治療法について、岡山大学の酒本先生には、動物モデルから生まれた摂食障害の新しい治療法の可能性について、臨床に繋がる現在進行形の基礎研究をお話しいただく。本シンポジウムで、かつて全盛だった日本の精神科基礎研究を経験したシニア世代と、基礎研究を敬遠するジュニア世代の両者に、研究で患者に貢献する熱い気持ちが再点灯することを期待している。
本シンポジウムは、精神科医としての高い臨床力や経験を所持した上で、現在も、病態解明研究を積極的に推進している日本を代表する研究者の先生方に、臨床に繋げる基礎研究の魅力を熱く語っていただく。治療薬が存在する領域として統合失調症・気分症、治療薬が存在しないまたは乏しい領域として神経発達症・摂食障害をテーマとした。東京科学大学の塩飽先生は、統合失調症における新規神経自己抗体の発見と免疫療法の可能性、また統合失調症高リスク遺伝子改変動物を用いた研究成果について、鳥取大学の山梨先生には、うつ病の基礎研究から生まれた新しい治療法の開発研究について、藤田医科大学の牧之段先生には基礎研究から生まれた神経発達症の新しい治療法について、岡山大学の酒本先生には、動物モデルから生まれた摂食障害の新しい治療法の可能性について、臨床に繋がる現在進行形の基礎研究をお話しいただく。本シンポジウムで、かつて全盛だった日本の精神科基礎研究を経験したシニア世代と、基礎研究を敬遠するジュニア世代の両者に、研究で患者に貢献する熱い気持ちが再点灯することを期待している。
[PS4-1]統合失調症の高リスク遺伝子病態及びシナプス自己免疫病態の解明
○塩飽 裕紀 (東京科学大学精神行動医科学分野)
[PS4-2]基礎研究がゼロイチで産み出す新規治療法~ケトン体によるうつ病治療、PTSD治療
○山梨 豪彦 (鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野)
[PS4-3]神経発達症の脳内外病変
○牧之段 学 (藤田医科大学医学部精神神経科学講座)
[PS4-4]ここまでわかった!摂食症の基礎研究と薬物療法アップデート
○酒本 真次 (岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)