Session Details
[SY2]シンポジウム2_統合失調症と鑑別すべき疾患や状態の理解を通して統合失調症の「本質」を考える
Thu. Jun 19, 2025 1:30 PM - 3:30 PM JST
Thu. Jun 19, 2025 4:30 AM - 6:30 AM UTC
Thu. Jun 19, 2025 4:30 AM - 6:30 AM UTC
B会場(神戸国際会議場 3階 国際会議室)
司会:尾関 祐二(滋賀医科大学精神医学講座)、高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)
メインコーディネーター:尾関 祐二(滋賀医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)
メインコーディネーター:尾関 祐二(滋賀医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:高木 学(岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学)
精神科診療における診断は生物学的な妥当性が課題であり、統合失調症の診断も例外ではない。そのため統合失調症の本質を明らかにする試みが長く行われてきている。家族集積性を原点とした遺伝学的研究は多くの成果をあげてきているが、その成果が臨床場面に届くにはまだ少し時間が必要なのかもしれない。現時点では「統合失調症」という診断の臨床的・生物学的“本質”は曖昧な状態であると言えるであろう。
こうした現状を踏まえ、我々は操作的診断基準による「統合失調症」の生物学的本質を考える方策として、「統合失調症と鑑別すべき疾患・状態」に注目することを考えた。例えば、抗NMDA受容体脳炎が見いだされる以前は、この疾患に罹患している患者の一部は操作的な診断基準によって統合失調症と診断されていたであろう。この事実は、操作的な診断基準による「統合失調症」が生物学的妥当性の側面から見ると多くの疾患を包含している可能性を示している。こうした仮説を発展させると、統合失調症の生物学的基盤を知る作業の中には、鑑別すべき疾患や状態を一つずつ抜き出していく作業も必要になるのかもしれない。もちろん、抜き出すべき疾患の多くはいまだ未知であるが、ある種の臨床的・生物学的特徴が抜き出すべき疾患群のヒントを示しているとのかもしれない。また、現時点で精神症状だけを見ていると統合失調症としてしまう可能性がある疾患を知っておくことは、「統合失調症」の生物学的基盤を知ることと同じ意味を持つことになるともいえる。
本シンポジウムのコーディネータはこうした視点を持って研究を進めており、統合失調症を取り巻く現象を確認していく目的で、過去2年間、統合失調症と鑑別が必要な臨床症状を呈する疾患のシンポジウムを企画した。すなわち、操作的診断による「統合失調症」から合理的に切り離されるかもしれない疾患について詳細を検討すべく、各分野のエキスパートの方々にシンポジストをお願いし、最先端の状況についてご発表をお願いしてきたてきた。そして、本年は精神病罹病危険状態(At Risk Mental State:ARMS)について樋口悠子先生、自己臭関係付け症や強迫症について松永寿人先生、物質使用症について成瀬暢也先生、代謝異常疾患に関して林田 麻衣子先生と各分野のエキスパートの先生にお話をいただく。
本シンポジウムは、統合失調症を診断する際に必要な鑑別疾患の知識を増やすと共に、統合失調症という診断の本質への手がかりを思い浮かべられるような機会となることを期待して企画されている。
こうした現状を踏まえ、我々は操作的診断基準による「統合失調症」の生物学的本質を考える方策として、「統合失調症と鑑別すべき疾患・状態」に注目することを考えた。例えば、抗NMDA受容体脳炎が見いだされる以前は、この疾患に罹患している患者の一部は操作的な診断基準によって統合失調症と診断されていたであろう。この事実は、操作的な診断基準による「統合失調症」が生物学的妥当性の側面から見ると多くの疾患を包含している可能性を示している。こうした仮説を発展させると、統合失調症の生物学的基盤を知る作業の中には、鑑別すべき疾患や状態を一つずつ抜き出していく作業も必要になるのかもしれない。もちろん、抜き出すべき疾患の多くはいまだ未知であるが、ある種の臨床的・生物学的特徴が抜き出すべき疾患群のヒントを示しているとのかもしれない。また、現時点で精神症状だけを見ていると統合失調症としてしまう可能性がある疾患を知っておくことは、「統合失調症」の生物学的基盤を知ることと同じ意味を持つことになるともいえる。
本シンポジウムのコーディネータはこうした視点を持って研究を進めており、統合失調症を取り巻く現象を確認していく目的で、過去2年間、統合失調症と鑑別が必要な臨床症状を呈する疾患のシンポジウムを企画した。すなわち、操作的診断による「統合失調症」から合理的に切り離されるかもしれない疾患について詳細を検討すべく、各分野のエキスパートの方々にシンポジストをお願いし、最先端の状況についてご発表をお願いしてきたてきた。そして、本年は精神病罹病危険状態(At Risk Mental State:ARMS)について樋口悠子先生、自己臭関係付け症や強迫症について松永寿人先生、物質使用症について成瀬暢也先生、代謝異常疾患に関して林田 麻衣子先生と各分野のエキスパートの先生にお話をいただく。
本シンポジウムは、統合失調症を診断する際に必要な鑑別疾患の知識を増やすと共に、統合失調症という診断の本質への手がかりを思い浮かべられるような機会となることを期待して企画されている。
[SY2-1]ARMS(精神病発症リスク状態)概念を通して考える統合失調症の本質
○樋口 悠子1,2, 鈴木 道雄3,4, 高橋 努1,2 (1.富山大学学術研究部医学系神経精神医学講座, 2.富山大学アイドリング脳科学研究センター, 3.有沢橋病院, 4.糸魚川診療所)
[SY2-2]統合失調症と強迫症、あるいは強迫スペクトラムとの相互関連は本質なのか偶発なのか
○松永 寿人 (兵庫医科大学精神科神経科学講座)
[SY2-3]物質関連障害と統合失調症~覚せい剤精神病を巡る考察を中心に~
○成瀬 暢也 (埼玉県立精神医療センター)
[SY2-4]代謝異常症と統合失調症
○林田 麻衣子 (島根大学精神医学講座)