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[SY8]シンポジウム8_この10年間に不安症(不安障害)治療はどのように発展したのか~難治性とその対応を中心に~

Thu. Jun 19, 2025 3:45 PM - 5:45 PM JST
Thu. Jun 19, 2025 6:45 AM - 8:45 AM UTC
C会場(神戸国際会議場 3階 レセプションホール)
司会:松永 寿人(兵庫医科大学精神科神経科学講座)、塩入 俊樹(岐阜大学大学院医学系研究科神経統御学講座精神病理学分野)
メインコーディネーター:松永 寿人(兵庫医科大学精神科神経科学講座)
COVID-19感染症の脅威やインパクトは、現在一見落ち着きを取り戻しつつあるようにみえる。しかし今も流行の消長が持続していることやコロナ後遺症に加え、この間にいく度と繰り返された不安や恐怖の体験は、自らが感染することへの警戒や不安、他者を感染させないかという過度の責任感、あるいは見えない対象といった不確実性の脅威などを介し、国民全体の不安感受性を高めることとなった。さらに多様な行動的変化、例えば引きこもりや公共の場を避けるといった回避行動、あるいは活動の抑制、過度の手洗いといった極端な安全探求行動などの出現も促した。またCOVID-19パンデミック禍で生じた対人関係様式やリモートワークといった社会的機能の在り方の多様化は、それが従来型に戻りつつある現在でも、生きづらさといったストレス脆弱性や社会的不適応の拡大、あるいは生産性の低下などに関連している可能性がある。
すなわち数年にわたるCOVID-19流行中に生じた不安や恐怖を主とする心理的・行動的変化は、ポストコロナにおいても、不安症やうつ病患者などの増加に加え、個人の心身の健康や行動パターン、QOL、自殺リスク、社会的生産性の低下、医療負担やコスト増など多角的に影響を及ぼしていることが想定される。
さて我々は、不安障害(不安症に強迫症とPTSDを含め)に関するシンポジウムを、様々なテーマについて十数年間続けてきた。今から10年前、2014年の横浜大会では「現在の神経症性障害(不安障害)にみられる難治性:その特徴、そして対応」というタイトルのシンポジウムを行った。コロナ禍を経て、今や国民の1000万人以上に生涯罹病を認めコモンディジーズともいえる不安症の治療は、この10年間にどう展開し発展したのであろうか。この間、新薬の登場、ガイドラインによる治療の普及と標準化、あるいはTMSなどneuro-modulationの導入、さらに啓発や予防という観点といったいくつか重大な転機があり、治療方針あるいは難治性の概念に関する変遷、そして選択可能な治療オプションの拡がりなどが生じている可能性がある。
このような現在における不安症治療を10年前のものと比較してみることは、精神科治療が発展し現在型に至るプロセス、そして現状での限界や課題を縦断的に考察する上で、また今後の方向性を予測する上でも有意義であろう。具体的には、各不安障害のガイドライン作成にも関わったエキスパートを演者とし、それぞれの疾患に対する最新の治療、今日的難治例の特徴や対応などを紹介して、最新の不安症治療に関する知識の共有と共に、参加者との双方向的な議論の中で、臨床的有用性に富む内容を目指したい。

[SY8-1]この10年間にパニック症治療はどのように発展したのか~難治性とその対応を中心に~

塩入 俊樹 (岐阜大学大学院医学系研究科精神医学分野)

[SY8-2]この10年間に社交不安症治療はどのように発展したのか?

朝倉 聡 (北海道大学保健センター)

[SY8-3]この10年間に全般不安症(GAD)治療はどのように発展したのか~難治性とその対応を中心に~

大坪 天平 (東京女子医科大学附属足立医療センター)

[SY8-4]この10年間のPTSD治療の発展

金 吉晴 (国立精神・神経医療研究センター)

[SY8-5]この10年間に強迫症(OCD)の治療はどのように発展したのか~難治性とその対応を中心に~

松永 寿人 (兵庫医科大学精神科神経科学講座)